バイクのメンテナンスでよく使われる工具の基礎と使い方を解説。
第5回は、「六角レンチとトルクスレンチ」
六角レンチは、L字型のやつだよね。
トルクスレンチって何?
1、六角レンチは、溝が六角形のネジに使う工具。
2、トルクスレンチは、溝が六芒星みたいなネジに使う工具です。
L字型の工具が有名ですが、色々な形の工具がありますよ。
工具の基礎 5【六角レンチ・トルクスレンチ】
工具の基礎 11【電工ペンチ 後編・スプライス端子の付け方】
工具の基礎 12【スピンナーハンドル・T型スライドハンドル】
目次をクリック・タップで移動できます。
持ち手の種類。
- ドライバー。
- Y型レンチ。
- T型ハンドル。(T型レンチ)
- ラチェットハンドル。(ソケットレンチ)
- L型レンチ。
この他にもいくつかの種類がありますが、使い勝手は だいたい上記のどれかに当てはまります。
ネジはテコの原理で回すので、持つところがネジの真上から遠くに離れるほど、強い力で回すことが出来ます。
- ネジの中心が支点。
- 持っているところが力点。
- ネジの溝と工具が接触して強く押されている所が作用点。(六角形なら6つの角あたり)
1、ドライバー。
回しやすく、力加減が分かりやすいのが特徴。
しかし、グリップがボルトの真上の為 (テコの原理による力を発揮しにくい為)、強い力は出しにくくなっています。
小さいサイズのネジに向いている工具です。
グリップがL字型に曲がったり、T字型になっているものは、もう少し力を出せるようになります。
ドライバータイプは、ネジの上側に広めのスペースがないと使えません。
2、Y型レンチ。
Yの先端 3ヵ所で 3サイズのネジに対応可能。
真ん中を上から握って使います。T型に近い形なので、通常のドライバーよりは強い力で回せます。
ネジの上側に広めのスペースがないと使えません。
3、T型ハンドル。(T型レンチ)
軸が細くて長いので、狭い場所や奥まった場所のネジを回せます。
また、軸を押さえて ひねるようにすれば、素早く回すことが可能です。
T字の左右を両手で持って回せば、そこそこ強い力を出せます。ただし、ネジの上側に広めのスペースがないと使えません。
T型ドライバーのようなグリップが付いているものや、L型レンチのように長いほうと短いほうと両方で使えるタイプなどもあります。
4、ラチェットハンドル。(ソケットレンチ)
よっぽど小型の製品でない限り、強い力で回すことが出来ます。
サイズの大きいネジに向いています。
一方で、小さいネジを締め付け過ぎてしまうおそれがあるので注意して下さい。
ハンドルを回す為のスペースと、ネジの上側にも少しスペースが必要です。
ドライバーや六角レンチとしての使用がメインのラチェットハンドルは、締め付け過ぎを防ぐ為、小型の製品が主流です。
「ラチェットドライバー」「板ラチェットドライバー」などと呼ばれます。
ラチェットハンドルについて詳しくは、こちらをご覧ください。
工具の基礎 4【ソケットレンチ(ラチェットハンドル)】
別タブで開きます。
5、L型レンチ。
大きい力を出すときは短いほう(短辺)をネジにセット、軽く早回しするときは長いほう(長辺)をセットして強います。
短いほう(短辺)を使えば、ネジの上側にあまりスペースがなくても回せます。
※横側に回す為のスペースは必要です。
基本的に持ちやすいグリップは付いていないので、大きなネジには使いにくくなります。
ビット。ソケット(ビットソケット)。
ラチェットハンドルと、一部のドライバーやT型ハンドルは、先端を差し替えて使用できます。
差し替えることで色々な種類のネジ、サイズに対応できます。
- 先端部分だけのものが「ビット」
- ソケットの先にビットを付けたものが「ビットソケット」(又は単純にソケット)
画像左は、様々な種類、サイズのビット。
一般的に、差替式のドライバーにはビットが使われます。
ラチェットハンドルは、小型の「板ラチェットドライバー」にはビットを使い、通常のラチェットハンドルはビットソケットを使います。
T型ハンドルも、どちらかといえば小さい製品はビット、大きい製品にはビットソケットを使います。
・注意点。
※大型のラチェットハンドル、T型ハンドルは強い力で回せる為、「小さいネジを締め付け過ぎてしまう」可能性があります。
※ドライバーは強い力で回しにくい為、「大きいネジをしっかり締め付けられない」可能性があります。
特に締め付け過ぎてネジの溝が変形すると、もう回せなくなります。
様子を見ながら慎重に作業して下さい。
ラチェットハンドルは前のほうを持つ、T型ハンドルは軸に近い部分を持つようにすると、締め付け過ぎを防ぎやすく出来ます。
・差し込み口のサイズ。
ビットを差し込む所のサイズは、
・4mm
・5mm
・6.35mm
・8mm
ビットを追加したい場合は確認して下さい。
差替式ドライバーのビットは、6.35mmが主流です。
ソケットの差し込み口は「差込角」と言い、主に 9種類。
・1/4インチ。(6.3ミリ)
・3/8インチ。(9.5ミリ)
・1/2インチ。(12.7ミリ)
・5/8インチ。(15.9mm)
・3/4インチ。(19ミリ)
・1インチ。(25.4ミリ)
・1と1/2インチ。(38.1ミリ)
・2と1/2インチ。(63.5ミリ)
・3と1/2インチ。(88.9ミリ)
一般用途では、6.3mm、9.5mm、12.7mmが主流です。
ソケットを追加したい場合は確認して下さい。
差替式ではないドライバーは、「六角ドライバー」「トルクスドライバー」と呼ばれます。
一般的なプラスドライバーやマイナスドライバーと同じような形状です。
普通のドライバーのような「ビットとは異なる長めの軸」が何本かセットになっていて、軸を取り替える「差替式ドライバー」もあります。ビットのような互換性はありません。
いちばんメジャーな「L型」のレンチについて、もう少し詳しく解説。
六角レンチ。
六角形の溝があるネジに使うL字型の工具。
別名。
・六角レンチ。
・六角棒レンチ
・ヘキサゴンレンチ。
・ヘックスレンチ。
・アーレンキー。
・JIS規格では、六角棒スパナ。
昔は「六角」、今は「ヘキサゴン」という名称を使っているメーカーが多いです。
・六角形の溝が付いたネジについて。
ネジは頭の形状で呼び名が違います。
また、径8mmまでを「ビス」8mm以上を「ボルト」と分けて呼んだりもします。
しかし、
形状やサイズに関係なく、六角形の溝が付いたネジはだいたい「六角穴付ボルト」と呼ばれます。
カタカナ表記では、「キャップボルト」「キャップスクリュー」
六角レンチのサイズ。
六角形の一面と反対側の面までの距離を「二面幅」と言い、六角レンチのサイズと言えば二面幅の大きさのことです。
六角形の角から角ではなく、面から面までの距離ですね。
日本のJIS規格では、0.7mmから46mmまで、23種類。
国際規格のISOでは、0.7mmから36mmまで、34種類。
一般的なサイズ。
- 1.5mm
- 2mm
- 2.5mm
- 3mm
- 4mm
- 5mm
- 6mm
- 8mm
- 10mm
セット販売の場合、だいたいこの 9サイズあたりを まとめた物が主流です。
インチ工具。
ハーレーやビューエルなど一部のバイクには、単位がmm(ミリメートル)ではなく「インチ」のネジが使われています。
分数で表され、
1/8、9/64、5/32、7/32、1/4、5/16、3/8
あたりがよく使われます。
ハーレー用のセットを購入するのが分かりやすくておすすめです。
バラで購入する場合、1インチは、25.4mmで計算します。
3/8の場合、3 ÷ 8 × 25.4 で、9.525mm。
六角形の溝の幅が、9.5mmちょっとなら、3/8の六角レンチが合うということです。
ネジの太さとネジの溝の大きさ。
画像の六角穴付きボルトは、太さ×長さ「M5 × 20」「レンチサイズ 3」と書かれています。
「M」がよく分からないけど、「レンチサイズ」と書かれているほうが六角レンチのサイズかな?
「M5」はネジのギザギザ部分の直径(呼び径)。
Mはミリで、呼び径5ミリということです。
画像右:ネジの溝を計ると3mmですね。
ネジはギザギザ部分の太さ(呼び径)が、目立つように書かれていることが多いです。
カスタムパーツなどでネジが変わるときは、ギザギザ部分の太さ(呼び径)と六角形の溝の大きさを間違えないようにして下さい。
「ピッチ」はギザギザの山から山までの幅です。
ピッチが違うとネジ穴に入っていきません。
ネジを換えたいときは、ピッチの確認も忘れずに。
六角レンチの長さ。
ネジはサイズが大きいほど強い力で締め付けられています。
※体積が大きいほど頑丈で強い力に耐えられる為。
六角レンチは、サイズが大きくなるにつれて長くなっていきます。
※テコの原理で回すので、長いほど大きな力を出せる。
小さい六角レンチは短いので、締め付け過ぎを防ぎます。
大きい六角レンチは長いので、しっかり締め付けが出来ます。
六角レンチは、
サイズによって長さを変えることで、
締め付け過ぎや、締め付け不足を防ぎやすくしています。
ロングタイプ。
長いほう(長辺)を更に長くしたタイプです。
長さはメーカーによって多少の違いがあります。
標準タイプより持ちやすく、軽い力で回せます。
※締め付け過ぎに注意。
標準タイプを「ショートタイプ」と呼んだり、「ショート」「標準」「ロング」というラインナップのメーカーもあります。
商品説明をよく確認して下さい。
首下ロング。首下ショート。
・首下ロング。
短いほう(短辺)を長くしたのが「首下ロング」
全体的に長くしているものもあります。
奥まった場所にネジが有り、短いほう(短辺)が届かないときに役立ちます。
・首下ショート。
短いほう(短辺)を更に短くしたのが「首下ショート」「ショートヘッド」とも呼ばれます。
ネジの上側が狭い場所でもアクセス出来ます。
JIS規格の長さ。
各メーカー、使い勝手を考えて、様々な長さ・形状の製品を販売しています。
長すぎると、締め付け過ぎてしまうおそれがあるので、標準的な長さを把握しておくことは重要です。
JIS規格で規定されている長さ。
標準形(Standard)より長い六角レンチは、締め付け過ぎに注意して下さい。
六角形の サイズ | 長柄 標準形 Standard | 長柄 M形 Long | 長柄 L形 Extra-long | 短柄 |
---|---|---|---|---|
0.7 | 33 | 7 | ||
0.9 | 33 | 11 | ||
1.3 | 41 | 63.5 | 81 | 13 |
1.5 | 46.5 | 63.5 | 91.5 | 15.5 |
2 | 52 | 77 | 102 | 18 |
2.5 | 58.5 | 87.5 | 114.5 | 20.5 |
3 | 66 | 93 | 129 | 23 |
4 | 74 | 104 | 144 | 29 |
5 | 85 | 120 | 165 | 33 |
6 | 96 | 141 | 186 | 38 |
8 | 108 | 158 | 208 | 44 |
10 | 122 | 180 | 234 | 50 |
12 | 137 | 202 | 262 | 57 |
14 | 154 | 229 | 294 | 70 |
17 | 177 | 262 | 337 | 80 |
19 | 199 | 89 | ||
22 | 222 | 102 | ||
24 | 248 | 114 | ||
27 | 277 | 127 | ||
32 | 347 | 157 | ||
36 | 391 | 176 | ||
41 | 435 | 195 | ||
46 | 480 | 215 |
ちょっとややこしいJIS規格での名称。
長いほうは「長柄」
短いほうは「短柄」
少し長いのが「M形」、国際規格ISOではLong。
かなり長めが「L形」、国際規格ISOではExtra-long。
参考:JIS B 4648 : 2008
参考:ISO 2936 : 2014 (E)
六角レンチの使い方。
- 最初は指で回す。又は指でネジを押さえて回す。(締める場合)
- ネジがゆるいときは長いほうで回す。
- ネジがキツいときは短いほうで回す。
1、最初は指で回す。又は指でネジを押さえて回す。(締める場合)
ネジが斜めになったまま強い力で回すと、ネジ穴が壊れてしまいます。
特に締め付け始めが斜めになりやすいので注意が必要です。
3~4回転させれば、安定してきます。
指は斜めになったとき気付きやすく、工具ほど大きな力を出せない為、ネジ穴を痛める可能性も減ります。
指で回しにくいときや、作業効率を上げたいときは、ネジに長いほう(長辺)をセットして回します。
回したときに外れないように、溝の奥までしっかりと差込みます。
ネジが斜めにならないように なるべくネジを指で押さえて回して下さい。
2、ネジがゆるいときは長いほうで回す。
ドライバーのようにクルクルと早回しが出来て、作業効率が上がります。
出来るだけ、指で軸を支えて回します。
六角レンチが斜めになったり、外れたりしにくくなります。
3、ネジがキツいときは短いほうで回す。
持ち手が長くなり、強い力が出せます。
ゆるめ始めや締め付けの最後は、短いほうをネジにセットして使います。
外れないように、しっかり奥まで差し込んで、軽く押さえつけながら回します。
軸を指で支えておくと、外れたり、斜めになったりしにくくなります。
あくまで基本的な使い方です。
ネジの上側にスペースがなければ、短いほうだけで回します。
横側にスペースがなければ、長いほうだけで回します。
締め付け過ぎないように注意。
力を入れ過ぎると「六角レンチが折れ曲がる」もしくは、「ネジの溝がつぶれる」おそれがあります。
※特に強い力を出しやすいロングタイプは要注意。
なかなか ゆるまないネジを回すときは、クレ556などの浸透潤滑剤を吹き掛けて10分以上待ってから回してみるようにして下さい。
六角レンチを曲げたり、ネジの溝を潰したりしないように、様子を見ながら慎重に作業して下さい。
ボールポイント。
長いほうの先端が、角張ったボール形状。
斜めからネジを回すことが出来ます。
最大角度は30度前後です。
メーカーによって角度が違うので、商品説明などで確認して下さい。
ネジの位置や体勢的に、「真っ直ぐだと回しにくい」という場合に役立ちます。
ボールの上部が細くなっている為、強度は低い場合が多いです。
強い力をかけるときは短いほうを使います。
「本締め可能」などと書かれた製品なら、締め付けの最後にもボール部分を使えます。
ただ、斜めだと真っ直ぐより力を伝えにくいので、慎重に作業して下さい。
有名メーカー。
六角レンチを販売していて、日本で入手しやすいメーカー。
国別。五十音順、アルファベット順。
日本。
・アストロプロダクツ。
・ANEX。(アネックス)
・ASAHI。(旭金属工業)
・DEEN。(ファクトリーギア)
・EIGHT。(エイト)
・ENGINEER。(エンジニア)
・Ko-ken。(コーケン、山下工業研究所)
L型レンチではなくラチェットハンドル用ビットソケット。
・KTC。(京都機械工具)
・MITOLOY。(ミトロイ)
・STRAIGHT。(ツールカンパニーストレート)
・TONE。(トネ)
・TOP。(トップ工業)
・VESSEL。(ベッセル)
・キジマ。「バイク用品メーカー」
・デイトナ。「バイク用品メーカー」
アメリカ。
・Bondhus。(ボンダス) ボールポイントを発明。
・Snap-on。(スナップオン)
カナダ。
・SIGNET。(シグネット)
スイス。
・PB SWISS TOOLS。
スウェーデン。
・BAHCO。(バーコ)
ドイツ。
・GEDORE。(ゲドレー)
・HAZET。(ハゼット)
・STAHLWILLE。(スタビレー)
・Wera。(ヴェラ)
・Wiha。(ビーハ)
フランス。
・FACOM。(ファコム)
おすすめ。
10mmぐらいまでの小さいネジは、
・かさ張らない「L型レンチ」
・汎用性が高い「ビット取り替え式のドライバー」
大きいネジは、
・汎用性が高い「ラチェットハンドル」
六角レンチのランキングやレビューは、こちらからご覧ください。
amazon 六角棒レンチの売れ筋ランキング。 amazon「六角レンチ」検索結果。 楽天市場「六角レンチ」検索結果。 Yahoo!ショッピング「六角レンチ」検索結果。リンクは全て別タブで開きます。
調べたい商品が決まっている方は、検索ボックスにメーカー名や「ソケット」「ラチェット」などのワードを足して検索して下さい。
続いて「トルクス」について。
全く使われていないバイクもあります。必要ない情報は飛ばして下さい。
トルクスレンチ。
溝が六芒星のようなネジ (トルクスねじ) に使う工具です。
トルクスねじは、BMWやハーレーなど外車によく使われています。
トルクス(TORX)は、CAMCAR Innovations社が開発。商標登録もされています。許可を得ていないと「トルクス」の名は使えません。
トルクス以外の呼び名は、「ヘックスローブ」「ヘクスローブ」「ヘクサロビュラ」など。
六角レンチと同じく、ドライバーやラチェットハンドルなど、L型以外の工具もあります。詳しくは、いちばん最初の「持ち手の種類」を見て下さい。
トルクスのサイズ。
角から角までの長さを表記するのが一般的ですが、谷(へこんでいる所)から谷までの長さも規定されています。
サイズは実際の長さではなく、T1、T2、T3…というふうに「T 数字」で表されます。
日本のJIS規格、国際規格のISO共に同じサイズです。
A | B | |
---|---|---|
T1 | 0.9 | 0.6 |
T2 | 1.0 | 0.7 |
T3 | 1.2 | 0.85 |
T4 | 1.35 | 1.0 |
T5 | 1.5 | 1.1 |
T6 | 1.75 | 1.27 |
T7 | 2.1 | 1.5 |
T8 | 2.4 | 1.75 |
T9 | 2.6 | 1.9 |
T10 | 2.8 | 2.05 |
T15 | 3.35 | 2.4 |
T20 | 3.95 | 2.85 |
T25 | 4.5 | 3.25 |
T27 | 5.1 | 3.68 |
T30 | 5.6 | 4.05 |
T40 | 6.75 | 4.85 |
T45 | 7.93 | 5.64 |
T50 | 8.95 | 6.45 |
T55 | 11.35 | 8.05 |
T60 | 13.45 | 9.6 |
T70 | 15.7 | 11.2 |
T80 | 17.75 | 12.8 |
T90 | 20.2 | 14.4 |
T100 | 22.4 | 16 |
バイクでよく使われるのは、T10からT50ぐらいです。
まずネジのサイズを計り、Tの何番が必要か調べます。
その後、L型、ドライバー型、ラチェットハンドル、どの持ち手が使いやすいかを考えて、工具を決めて下さい。
次で説明する「いじり止めトルクス」用の工具は、普通のトルクスにも使えます。
「いじり止め」などと書かれている製品にしておくのがおすすめです。
参考:JIS B 1015 : 2018
参考:ISO 10664 : 2014(E)
トルクスねじの種類。
- 通常のトルクスねじ。
- いじり止めトルクスねじ。中心に突起あり。
- E型トルクスねじ。ネジ側が出っ張っている。
通常のトルクスといじり止めトルクスを「T型」と呼び、E型と区別しやすくしているメーカーもあります。
トルクスねじは、六角形よりも力の伝達効率が良く、ネジを痛めにくいという特徴を持っています。
いじり止めトルクス。
溝の真ん中に突起があるトルクスねじです。
工具側には、突起を避ける為の穴が開いています。
突起がある以外は通常のトルクスと同じなので、いじり止めトルクス対応の工具は、通常のトルクスねじも回せます。
・工具メーカーのサイズ表記。
トルクスは「T 数字」
いじり止めトルクスは「TH 数字」「T 数字 H」
不正防止という意味の「tamper resistant」の頭文字をとって「トルクス TR」と書かれる場合もあります。
E型トルクス。
通常のトルクスとは逆に、ネジ側が出っ張っていて、工具側がへこんでいるタイプです。
E4、E5、E6…というふうに「E 数字」で表されます。
通常のトルクスと間違えないように「E型トルクス」と呼ばれることが多くなっています。
通常タイプはTが付くので「T型トルクス」
主なサイズ。
A | |
---|---|
E4 | 3.8 |
E5 | 4.7 |
E6 | 5.7 |
E7 | 6.1 |
E8 | 7.5 |
E10 | 9.4 |
E11 | 10.0 |
E12 | 11.1 |
E14 | 12.8 |
E16 | 14.7 |
E18 | 16.6 |
E20 | 18.4 |
E22 | 20.2 |
E24 | 22.1 |
E28 | 25.6 |
E32 | 29.1 |
E36 | 32.8 |
E40 | 36.4 |
数値は目安です。メーカーによって微妙に数値は違います。
ここからは、あまり使われていないタイプの紹介です。
必要ない情報は飛ばして下さい。
トルクスプラス。
通常のトルクスの角が更に丸くなった形です。
サイズは実際の数値ではなく、10 IP、15 IP、20 IP…というふうに「数字 IP」で表されます。
トルクスに比べて、あまり使われていないネジです。
主なサイズ。
A | |
---|---|
8 IP | 2.3 |
9 IP | 2.5 |
10 IP | 2.7 |
15 IP | 3.2 |
20 IP | 3.8 |
25 IP | 4.4 |
27 IP | 4.9 |
30 IP | 5.5 |
40 IP | 6.6 |
45 IP | 7.8 |
50 IP | 8.8 |
55 IP | 11.1 |
60 IP | 13.2 |
70 IP | 15.5 |
数値は目安です。メーカーによって微妙に数値は違います。
トルクスプラス EP型。
ネジ側が出っ張っていて、工具側がへこんでいるトルクスプラスです。
サイズは実際の数値ではなく、「数字 EP」又は「EP 数字」で表されます。
一般的ではなく、あまり使われていないネジです。
主なサイズ。
A | |
---|---|
8EP | 7.4 |
10EP | 9.3 |
12EP | 11.0 |
14EP | 12.8 |
16EP | 14.6 |
18EP | 16.5 |
20EP | 18.3 |
数値は目安です。メーカーによって微妙に数値は違ったりします。
いじり止めトルクスプラス。
ネジの溝の中央に突起があります。
そして、形そのものが変わって五角形になっています。
サイズは実際の数値ではなく、「数字 IPR」で表されます。
あまり一般的ではなく、滅多に使われないネジです。
主なサイズ。
A | |
---|---|
8 IPR | 2.2 |
9 IPR | 2.35 |
10 IPR | 2.6 |
15 IPR | 3.1 |
20 IPR | 3.65 |
25 IPR | 4.1 |
27 IPR | 4.7 |
30 IPR | 5.2 |
40 IPR | 6.3 |
45 IPR | 7.4 |
50 IPR | 8.35 |
55 IPR | 10.6 |
数値は目安です。メーカーによって微妙に数値は違います。
トルクスと似ているネジ。
PolyDrive、Ribe CVというネジは、車(欧州車)に採用されています。
欧州のバイクにも使われるかもしれません。
トルクスか別のネジか判別できないときは、バイク屋(メーカー取扱店)に聞いて下さい。
LH、LH-S、LH-SS、LR-Tは、オーエスジーシステムプロダクツ社が盗難防止用として販売しているネジです。
有名メーカー。
トルクス用の工具を販売していて、日本で入手しやすいメーカー。
国別。五十音順。アルファベット順。
日本。
・アストロプロダクツ。
・Anex。(アネックスツール)
・DEEN。(ファクトリーギア)
・ENGINEER。
・KTC。(京都機械工具)
・STRAIGHT。(ツールカンパニーストレート)
・TONE。(トネ)
・VESSEL。(ベッセル)
・キジマ。「バイク用品メーカー」
・デイトナ。「バイク用品メーカー」
アメリカ。
・Bondhus。(ボンダス)
・Snap-on。(スナップ オン)
カナダ。
・SIGNET。(シグネット)
スイス。
・PB SWISS TOOLS。(PB)
スウェーデン。
・BAHCO。(バーコ)
ドイツ。
・HAZET。(ハゼット)
・STAHLWILLE。(スタビレー)
・Wera。(ヴェラ)
フランス。
・FACOM。(ファコム)
おすすめ。
小さいトルクスねじには、
・かさ張らない「L型レンチ」
・汎用性の高い「ビット取り替え式のドライバー」
大きいトルクスねじには、
・汎用性の高い「ラチェットハンドル」
トルクス用工具のレビューや商品詳細は、こちらからご覧ください。
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調べたい商品が決まっている方は、検索ボックスにメーカー名や「レンチ」「ビット」などのワードを足して検索して下さい。
・所長の次回予告。
次回は、「モンキーレンチ」
工具の基礎 5【六角レンチ・トルクスレンチ】
工具の基礎 11【電工ペンチ 後編・スプライス端子の付け方】