立ちゴケ。
停まっているときにバイクを倒してしまうこと。
手でバイクを押しているとき・ゆっくり走っているとき・停車する瞬間などに転倒することも、立ちゴケと表現することがあります。
握りゴケ。
走行中にフロントブレーキ(右手のレバー)を強く握ってしまいタイヤがロック(ピタッと止まる)して転倒すること。
ブレーキレバーを握ったまま倒れることがあるので「握りゴケ」と言います。
※握りゴケは、低速走行時にフロントブレーキをかけてしまうことでよく起こります。
ゆっくり走っているときフロントブレーキをかけちゃダメなの?
ダメじゃないよ。
でも強力すぎて調節が難しいので、リアブレーキ (右足のペダル) を使うほうが転けにくいよ。
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立ちゴケの原因。
原因を知らずに対策だけ聞いても、事前に気を付けるポイントは分かりません。
まずは、どうして立ちゴケが起こるのか見ていきましょう。
立ちゴケの主な原因。
- 足を着いた所に砂利や落ち葉などがあって、滑って転倒。
- 道の傾斜や凹凸などで足がすぐに着かず、いつもよりバイクが傾いて転倒。
- 横風に煽られて、バランスを崩して転倒。
- 普段着で乗っていて、パンツの裾や靴ひもがペダル・ステップに引っ掛かって転倒。
- 手で押して移動しているときや、シートに座るときにバランスを崩してしまい転倒。
- 長距離走行などで思った以上に疲れていて、支えきれずに転倒。
- Uターンなど傾けてゆっくり走っているときに、クラッチレバーを握って惰性で走ってしまう。半クラッチに戻す前に惰性で進む力がなくなって転倒。
多くて覚えきれないっす。
1、2、3は同じくくり。
4は装備の基礎知識。
5、7は頻繁に行うことなので、そうそう忘れません。
6が忘れやすいので要注意。
立ちゴケ対策。
続いて、対策法。
- 運転に慣れるまでは、出来るだけ道路の左端(路肩)を走らない。
- 停止する時は、お尻をずらしてしっかり足を着く。
- 専用品でリスクを減らす。
- こまめな休憩。
- 取り回し (手でバイクを押して移動) 時のポイントを押さえる。
- 乗り降りの際の注意点。
- 傾けてゆっくり走っている時に、クラッチを切らない。
順番に説明していきます。
運転に慣れるまでは、出来るだけ道路の左端(路肩)を走らない。
一般的な道路は、雨水が路肩の排水溝へ流れるように中央が少し高くなっています。
中央から路肩に向かって低くなっていく形です。
※道路構造令という法令で「傾斜をつけなさい」と決められています。
正式名は「横断勾配」
もともと一般道では左足がちょっとだけ着きにくくなっているんですね。
更に、
白いコンクリートの路肩は、道路より傾斜がキツかったり低くなっていたりしている場合があります。
上の画像 右側を参照。
そして、排水溝のフタ (グレーチング) は かなり滑りやすいです。
一番の問題は、
雨水と一緒にゴミや落ち葉、砂利なども流れてきて道路の端に溜まりやすくなっていることです。
晴れの日は砂利が、雨の日は落ち葉が滑りやすいです。
慣れるまでは、なるべく左端 (路肩) を走らないようにしておくのが無難です。
歩道の縁石のおかげで足が着きやすい場合もありますが、上記のリスクがあることは覚えておいて下さい。
停止する時は、お尻をずらしてしっかり足を着く。
路面の滑りやすさや傾斜角度は、見ただけでは判断できないことがあります。
足をしっかり着くことで転倒のリスクを減らせます。
横風の対策にもなります。
シートの高い車種など足が着きにくい場合は、
お尻をズラして出来るだけ足をしっかりと地面に着けるようにします。
シートの上には、太ももが乗っている感じ。
「かかとが少し浮いている」ほうが安定する場合もあれば、「かかとまでベッタリ着けた」ほうが安定する場合もあります。
乗車姿勢、車重、体格などで変わってくる為、何度か試してみてください。
この姿勢は、カメラの三脚に例えられたりします。
「前輪・後輪・足の三点で支えると安定して倒れにくい」
という説明ですね。
両足つま先でフラフラするより、少し傾けて3点で支えたほうが安定します。
といっても、足で支えられる重さには限界があります。
バイクを傾け過ぎないように注意して下さい。
いきなり実践するのは難しいです。
前もって練習しておきましょう。
私もサイドスタンドを立てて、お尻をズラしてズラして・・・
レーサー気分で練習してました。
バイクは速度が遅いほうがフラつきやすくなります。
慣れるまでは早めにお尻をずらしてください。
慣れれば、「止まってからお尻をずらして足を着く」なんてことも出来るようになりますよ。
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専用品でリスクを減らす。
バイク専用品の多くは、
パンツの裾を絞れたり、靴ひもをフラップで固定できたりとステップ・ペダルへの引っ掛かり対策が施されています。
足が引っ掛かったまま転けると、足がバイクに挟まれて怪我をする可能性も高くなります。
自転車用品で、パンツの裾に巻くアンクル(足首)バンドや、靴ひも用バンドといった製品もあります。
足首用のバンドは、100円ショップの自転車コーナーによく置いてあります。
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こまめな休憩。
疲れた状態だと、バイクから降りるときにフラついたり、シートに足が引っ掛かったりするおそれがあります。
「ツーリング(長距離走行)では小まめに休憩をとる」
有名な言葉です。
ちょっとバイクに慣れてきた頃に忘れがちな言葉でもあります。
計画は余裕を持たせて、多めに休憩を入れましょう。
バイクの運転に慣れてくると、しっかりニーグリップを行うようになります。
長時間ニーグリップをしていると「脚」が疲れてきます。
ツーリングでバイクから降りるとき、予想以上に脚が疲れていてフラつくことがあります。
ツーリングや長時間走行後にバイクから降りるときは慎重に。
取り回し (手でバイクを押して移動) 時のポイント。
直立して動いているバイクはハンドルを切った方向と逆向きに傾きます。
大きく動かす必要はありません。
反対側へ倒しそうで不安なときは、数センチ反対側へハンドルを切ってみて下さい。
センタースタンドを降ろすときなど、バイクが直立しているときに役立ちます。
自分のほうへバイクを傾けたら、腰や太ももなどをバイクに密着させて支えます。
バイクにあずけた自分の体重と、バイクの重さで釣り合いが取れる形がベストです。
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乗り降りの際の注意点。
バイクに跨がるときは、
ハンドルのほうに向かって頭を下げると足が上がりやすくなります。
シートを蹴っ飛ばしてバイクを倒すリスクが減ります。
体が固い人には特にオススメな方法。
前屈プラス10センチ。
体の固さに定評のある私は必ずやってます。
シート後方に荷物を積んでいる場合は、
・シートに 右足かかとを乗せて前へズラしていくようにする。
・ステップに片足で乗ってから跨ぐ。
・膝をおもいっきり曲げて跨がる。
といった方法で荷物を蹴って倒してしまうことを防ぎやすくなります。
※降りるときは、逆の動きで降ります。
慣れるまでは、降りるときが忘れやすいので要注意。
傾けてゆっくり走っている時に、クラッチを切らない。
傾いているバイクは、アクセルを開けると起き上がろうとする力が働きます。
クラッチを繋ぐのが遅れると起き上がらずに倒れてしまいます。
バイクの特徴として、
- アクセルを開けてタイヤを回す力が働いていれば、安定して倒れにくくなります。
- クラッチを切って惰性で走っているときは、不安定な状態になっています。
傾けて走っている最中にクラッチを切ると「不安定で傾いている」状態となります。
スピードが出ていれば惰性である程度持ちますが、傾けてゆっくり走っているときにクラッチを切るのは危険です。
速度調節が必要な場合。
傾けているとき (曲がっているとき) にブレーキは かけないのが基本ですが、公道では速度調節が必要な場面もあります。
ゆっくり走っているときのアクセル開け閉めでのスピード調節は、数ミリ単位でゆっくりとアクセルを動かして行います。
※低いギアでアクセルを一気に開け閉めすると、ギクシャクした走りになってしまいます。
ブレーキでのスピード調節は、リアブレーキを軽くかけることで行います。
低速なら軽くかけるだけで減速してくれます。
- アクセルは開けたまま一定位置をキープ。
- リアブレーキを軽くかけてスピード調節。
半クラッチで走っているときも、
半クラのまま・アクセル開けたまま・リアブレーキで減速。
が、いちばん安定します。
足は手ほど器用には動きません。
力も強いので、練習しておかないとキツくかけてしまいがち。
安全な場所で練習をして、
リアブレーキ調節の感覚を掴んでください。
フロントブレーキは強力すぎて低速だと調節が難しいです。
ブレーキレバーを引きながらのアクセル調節も難しいです。
リアブレーキを使いましょう。
低速でフロントブレーキを使うと、次の章で説明する「握りゴケ」で転倒する危険もあります。
カーブの途中で止まる場合。
「歩行者が前を横断しそうな交差点の左折」などカーブの途中でクラッチを切って止まる可能性がある場合。
- 深く傾けて曲がろうとせずに、しっかり減速して周囲を確認。
- あまり傾けずにハンドル操作メインで曲がる。
- 止まるときはリアブレーキを軽く踏む。
ハンドル操作メインで?
難しく考えなくても大丈夫です。
しっかり減速(※)して「歩行者が来そうだ」「止まる可能性がある」と分かっていれば自然にやっているはず。
※スピードが上がれば上がるほど傾けないと曲がらなくなっていきます。
街中の交差点など、カーブの途中で止まる可能性が高いときは、スピードを出し過ぎないようにしましょう。
交差点の左折などで、
素早く曲がろうとすると、体は直立気味でバイクを深く傾ける姿勢をとってしまうことがあります。
教習所で習う「リーンアウト」の姿勢ですね。
上手く乗れている人ほど無意識にやってしまいがちです。
歩行者がいて止まる可能性があるときに傾けていると危険です。
上手く曲がれている人ほど意識的に深く傾けないように気を付けて下さい。
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次は、握りゴケについて。
握りゴケの原因。
よくあるパターンが次の 3つ。
- 「前の車が突然急ブレーキ」などで、慌ててフロントブレーキを強く握ってしまう。
- 停止する寸前にフロントブレーキを握ってしまう。
- 凄くゆっくり走っているときに普通にフロントブレーキをかけてしまう。
1.はABSの普及で回避しやすくなってきています。
握りゴケ対策。
対策法。
- フロントブレーキは、緩やかにギュゥーッと引くクセをつける。
- ブレーキレバーは緩めていって停車。
- 凄くゆっくり走っているときの減速はリアブレーキで。
順番に説明していきます。
フロントブレーキは、緩やかにギュゥーッと引くクセをつける。
前の車が急ブレーキをかけた。
焦ってブレーキレバーをギュッと強く握る。→ 前タイヤがピタッと止まってしまう。
ABSが付いていないとほぼ確実に転倒します。
50km/h、60km/h走行など、スピードが出ていれば簡単にはロックしませんが、車体は前のめりになり、停止後に元に戻って車体が揺れます。
普段から、ギュッと一瞬で握りこむのはやめましょう。
イメージ的には、0.2秒でギュッと握るのをギュゥーッと 1秒かけて引くように変更する感じ。
これだけでタイヤがロック(ピタッと止まる)しにくくなります。
リアブレーキだけを踏むと車体は全体的に沈み込んで安定して減速していきます。
フロントブレーキだけをかけるとフロントフォーク(前のサスペンション)が沈み、後ろのサスペンションは伸びて車体は前に傾きます。
- フロントフォーク。
- リアサスペンション。
前後のブレーキを同時にかけたときでも、フロントブレーキを強くギュッと握ってしまうと前に大きく傾きます。
前に傾き過ぎると、
リアタイヤが浮き気味となってリアブレーキが効きにくくなり、ロック(ピタッと止まる)しやすくなります。
フロントブレーキを少し緩やかにかけるだけで、リアブレーキもしっかり使って減速できます。
結果、短い距離で安定して止まれる可能性が高まります。
ABSが付いていても、車体の傾きは抑えられません。
普段の信号停止などは、ギュゥーッとレバーを引くほうがスムーズに止まれます。
また、リアブレーキを一瞬早くかけると、車体が前に傾くのを少し抑えて減速できます。
途中から急ブレーキになっても、ある程度安定して止まれます。
余裕があるときに、一瞬早くリアブレーキをかけるようにクセづけておくと、イザというときも体が動いてくれるかもしれません。
・急ブレーキをかけたときの対応策。
急ブレーキで止まるときは、
「前下がりとなった車体が元に戻る動きが起こる」ことを想定して、
可能な限り車体を真っ直ぐにして揺れに備えるようにしてください。
ブレーキレバーは緩めていって停車。
止まる瞬間にフロントブレーキをかけると、
フロントフォーク(前タイヤとハンドルの間にあるサスペンション)が沈みます。その後、元に戻ります。
重いバイク、足着きの悪いバイクだと、この揺れだけで転倒することもあります。
ブレーキレバーは緩めていって止まるようにすると、揺れが少なく滑らかに停車できます。
止まる瞬間にブレーキが必要な場合、リアブレーキを軽くかけましょう。
リアブレーキをかけてもサスペンションが大きく沈むことはありません。
普段の信号停止とは違うシチュエーションに注意。
例えば、出先で駐輪場に停めるときなどに、フロントブレーキで停止。というのをやってしまいがち。※経験談。
90度曲がりながら駐車しなければいけないときなどは、特に気をつけよう。
駐車場・駐輪場での低速走行時にフロントブレーキをかけてしまうのは、見かけることも多いです。
駐車場所を探すなど、他のことに気をとられているのが原因だと考えられます。
普段から、低速走行ではリアブレーキを使うクセをつけておきましょう。
凄くゆっくり走っているときの減速はリアブレーキで。
フロントブレーキは強力なので、
低速走行で普通にレバーを引いてしまうと、前タイヤがピタッと止まってしまいます。
その後にフロントフォークの沈みと戻りで揺れも起こります。
Uターンや交差点の左折で傾けているときに、フロントブレーキを普通にかけると ほぼ転けます。
リアブレーキはフロントブレーキほど強力ではないので低速ではタイヤのロック(ピタッと止まる)が起こりにくいです。
焦って強くかけて急停止しても、フロントフォークの沈み込みによる揺れは起こりません。
また、ブレーキレバーを引きながらのアクセル調節は難しいですが、ブレーキペダルを踏みながらのアクセル調節は簡単です。
繰り返しになりますが、
低速走行でのリアブレーキ減速は、前もって練習して
どのぐらい踏み込めばいいか感覚を掴んでおきましょう。
リアブレーキを手で動かして、可動範囲を目で見て把握しておくのもオススメ。
右のUターンで右足を着いているなど、リアブレーキが使えないとき。
人差し指1本でフロントブレーキを操作してみて下さい。
ギュッと握りこむ動作にはなりにくいです。
人差し指は多くの人が器用に動かせるはずなので、微妙な操作もやりやすくなります。
リアブレーキを強く踏むことは ほぼ無い。
ゆっくり走行では軽くかけてもしっかり減速してくれます。
スピードを出して減速するときは、前へ進もうとする慣性の力でバイクの重さは前方に移動します。
前輪に重さがかかり、後輪は抵抗が減ります。後輪は軽く回りやすくなっています。
この状態でリアブレーキを強くかけると後輪がロックして(ピタッと止まって)しまいます。
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