・慣らし運転。
新車は暫くの間、急ブレーキや急加速を控え、エンジン回転数を上げ過ぎないようにして大人しく走ること。

慣らし運転は必要ないって話も目にするよ?

ホンダの「車」、スズキの「車」は慣らし運転不要。
と公式で発表されています。
※ホンダは、車の性能維持と寿命を延ばす為に急激なアクセル操作は出来るだけ避けるように推奨。
※スズキは、運転者が車に慣れるまで急ブレーキや急発進を避けることを推奨。

「慣らし運転が必要ない」というのは、車の話と混同されてしまった可能性がありますね。
日本の主要メーカー、ホンダ・ヤマハ・スズキ・カワサキが公表している慣らし運転の方法を紹介します。
※2024年時点の情報です。
最初は基本情報から。
目次をクリック・タップで移動できます。
慣らし運転は何の為に行うのか。

理由を大まかに分けると 2つ。
- 機械を馴染ませる。
- 人間を馴染ませる。
機械を馴染ませる。

バイクは走行時に動く部品が沢山あります。
特にエンジン内部はもの凄いスピードで動いています。
エンジン回転数を表す「rpm」や「r/min」は、1分間に何回転しているかを表します。
アクセルを開けていないアイドリング状態でも1,000~1,500回転ぐらいと凄い速度です。

- シリンダー。
頑丈な筒状の部品。 - ピストン。
シリンダー内を上下に動く。 - コンロッド。(コネクティングロッド)
ピストンの上下の動きを回転に変える為の棒。

・エンジン内部の動き。ざっくり説明。
1、ピストンが上まで上がったときガソリンに点火。
2、暖まって膨張した空気の圧力に押されてピストンが下に移動。
3、コンロッドがピストンの動きを回転に変える。
※この回転がトランスミッション(ギアチェンジする為の機構)やチェーンを回し、最終的にリアタイヤを回すことでバイクは前に進みます。
・エンジン内部の歯車「トランスミッション」(ギアチェンジする為の機構)

トランスミッションは、固定されている歯車と空回りする歯車が組み合わさった部品。
ニュートラルだと回転が伝わらないようになっていますが、ギアをニュートラル以外に入れると、対応している歯車だけが回転を伝えられるようになります。
慣らし運転では全てのギアを使って (全ての歯車に負荷をかけて)、馴染ませていくほうがいいでしょう。
最初はオイルに金属粉が混じる。
金属部品の表面を完璧に平らにすることは不可能で、目に見えない僅かなデコボコが存在します。
新品時は、エンジン内部の接して動いている部分が削れて金属の粉が発生します。
エンジン内部の金属粉はエンジンオイルに混ざります。
※だんだん削れて平らになっていくので、金属粉もだんだん減っていきます。
最初からエンジン回転数を上げすぎる (エンジンを早く動かし過ぎる) と、デコボコがイビツに削れる可能性があります。
また、エンジン内部を潤滑するのは、金属粉入りのエンジンオイルです。

「金属粉入りのエンジンオイル」でエンジン回転数を上げるのは、機械的にも精神的にも良いものではありませんよね。
その他の動く部品。
レバー、ペダルの軸・サスペンションなど、走行中に何度も動く場所も、最初は動きが渋かったりすることがあります。
これらの部品も 接して動いている部分に余計なダメージを与えないように、穏やかに走行して馴染ませていきます。
人間を馴染ませる。
車種によって乗車姿勢が変わります。
エンジンのパワーや、エンジンの種類による乗り味の違い、レバーやハンドルの形状なども変わってきます。
タイヤの形や大きさが違うこともあります。

自転車(ママチャリ)でも、ほとんど同じような形なのに、初めて乗る自転車は違和感がありますよね。
「乗り手が新車に慣れるまでは大人しく走る」ということは、安全上の観点から重要なポイントだと言えます。
慣らし運転をしなかったら?

今は機械の加工精度が高くなり、慣らし運転をしなかったからといって致命的な問題が起こるということはないようです。
ホンダは「慣らし運転をしておくと良い状態を保てる」
ヤマハ・スズキ・カワサキは「慣らし運転をしておくと寿命が延びる」と明記しています。
出来ればやっておくべきですね。
高速道路で慣らし運転。
慣らし運転の期間は、500km・1,000kmなど走行距離で決められていることが多いです。
「高速道路で一気に距離を稼いでしまおう」という考え方も存在します。
大排気量のバイクなら、高速道路でもエンジン回転数をあまり上げずに走行できます。
エンジン内部の慣らしはある程度可能と言えます。
しかし、レバー、ペダルの軸・サスペンション・トランスミッション(ギアチェンジする為の機構)など他の場所は、あまり動かさないことになります。
時速100キロで一定走行していると、ギアはずっと同じ、エンジン回転数もほぼ同じままです。
スズキはエンジン回転数に変化をつけるように指定している車種もあります。
出来ることなら、レバー、ペダルを何度も動かし、全てのギアを使い、エンジン回転数も変化をつけて走るようにしたほうがいいでしょう。

信号がそこそこある一般道を、色んなギアを使って走るのがおすすめ。
信号停止でブレーキレバー、ペダルを何度も使えます。
ギアチェンジでクラッチレバー、ペダルを何度も使えます。
加速、減速でエンジン回転数を変化させられます。
緊急時。
緊急時の急ブレーキなどは、気にせず思いきってかけて下さい。
慣らし運転より身の安全のほうが重要です。
・エンジン回転数が指定されているバイク。
小排気量バイクの合流加速やギアチェンジの操作ミスなどで、一時的にエンジン回転数が大きく上がってしまうことがあります。
カワサキ公式サイトには「一時的に回転数が上がっても問題ない」と書かれています。
他のメーカーも当たり前すぎて書いていないだけで問題ないでしょう。
メーカー別、慣らし運転の方法。
ホンダ。

公式サイトに記載されています。
・50cc以下。スクーター系。
走行距離100kmまでは、穏やかな運転を心がける。
慣らし運転を行うと、より良い状態を保つことが出来る。
・50cc以下。カブ系。
走行距離500kmまでは、穏やかな運転を心がける。
慣らし運転を行うと、より良い状態を保つことが出来る。
・50cc以下。コンペティションモデル。(オフロード競技用)
走行距離25kmまで、又は最初の1日は穏やかな運転を心がける。
慣らし運転を行うと、より良い状態を保つことが出来る。
・51cc以上。
走行距離500kmまでは、穏やかな運転を心がける。
慣らし運転を行うと、より良い状態を保つことが出来る。
・51cc以上。コンペティションモデル。(オフロード競技用)
走行距離25kmまで、又は最初の1日は穏やかな運転を心がける。
慣らし運転を行うと、より良い状態を保つことが出来る。
参考:HONDA公式ホームページ。
https://www.honda.co.jp/ → よくあるご質問・お問い合わせ → バイクQ&A → 車種を選ぶ → 慣らし運転は必要ですか?

ホンダは、
細かい指定は無く「100km又は500kmまで大人しく運転してね」
という感じですね。
ヤマハ。

公式サイトによると「車種によって変わるので、取扱説明書を確認」とのこと。
例として、排気量の違うバイクをいくつか紹介。
・MT-07 取扱説明書の内容。
排気量:688cc
期間は、初回点検(1ヶ月)または1000 km走行まで。
エンジン回転数を 6000 r/min以下で走行。
不要な空ぶかしや急加速、急減速はしないように。
慣らし運転を行うとバイクの寿命を延ばす。
参照:2023年7月
・MT-25、MT-03 取扱説明書の内容。
排気量:249cc、320cc
期間は、走行距離1,000kmまで。
エンジン回転数
MT-25:8,400 r/min 以下。
MT-03:7,500 r/min 以下。
不要な空ぶかしや急加速、急減速はしないように。
慣らし運転を行うとバイクの寿命を延ばす。
参照:2023年7月
・シグナス グリファス 取扱説明書の内容。
排気量:124cc
期間は、初回点検(1ヶ月)または1000 km走行まで。
不要な空ぶかしや急加速、急減速はしないように。
バイクを長持ちさせる為に慣らし運転を行って下さい。
参照:2023年7月
参考:ヤマハ発動機 製品サイト。
https://www.yamaha-motor.co.jp/ → バイク・スクーター → その他 → オーナーサポート → 取扱説明書

ヤマハは、
期間は1,000km走行するまで。
エンジン回転数は車種によって変わる感じですね。
スズキ。

取扱説明書に記載されています。
スズキは、タイヤに関しても記載があります。
例として、排気量の違うバイクをいくつか紹介。
・GSX-8S 取扱説明書の内容。
排気量:775cc
走行距離1,000kmまでは、エンジン回転4,500 r/minで走行。
不要な空ぶかしや急加速、急減速、急ブレーキ、急ハンドルを避ける。
新しいタイヤは滑りやすいので、走行距離160kmまでは徐々に傾ける量を増やしていく。
急加速、急ブレーキ、ハードなコーナリングを避ける。
回転数に変化をつける。変化をつけることで負荷が変わり部品に当たりをつける。
慣らし運転をすることで寿命を延ばす。
参照:2023年6月
・V-Strom250 取扱説明書の内容。
排気量:248cc
走行距離1,000kmまでは、エンジン回転5,000 r/minで走行。
不要な空ぶかしや急加速、急減速、急ブレーキ、急ハンドルを避ける。
新しいタイヤは滑りやすいので徐々に傾ける量を増やしていく。
慣らし運転をすることで寿命を延ばす。
参照:2023年6月
・アドレスV50 取扱説明書の内容。
排気量:49cc
走行距離200kmまでは、時速25キロ以下で走行。
不要な空ぶかしや急加速、急減速、急ブレーキ、急ハンドルを避ける。
新しいタイヤは滑りやすいので徐々に傾ける量を増やしていく。
参照:2023年7月
参考:スズキ公式サイト。
https://www.suzuki.co.jp/ → 二輪車 → サポート → オーナーズマニュアル

スズキは、
期間は1,000km走行するまで。
エンジン回転数は車種によって変わる。
タイヤは徐々に傾ける量を増やしていく。
といった感じですね。
カワサキ。

公式サイトに記載されています。
走行距離が増えると、エンジン回転数上限も増えるという感じです。
・399cc以下。
走行距離 エンジン回転数 0~200km 4,000rpm 200~350km 6,000rpm 350~1,000km 控えめな運転 ・400cc以上。
走行距離 エンジン回転数 0~350km 4,000rpm 350~600km 6,000rpm 600~1,000km 控えめな運転 ・Ninja ZX-25Rのみ。
カワサキモータースジャパン. 2021,03,12 ならし運転について 参照:2023年7月
走行距離 エンジン回転数 0~200km 6,000rpm 200~350km 8,000rpm 350~1,000km 控えめな運転
https://www3.kawasaki-motors.com/after-service/running_in/
必要に応じて一時的に制限回転数を越えることは問題ない。
空ぶかし、急加速、急減速は避ける。
慣らし運転を行うとバイクの性能を維持し寿命を延ばす。
参考:カワサキモータースジャパン。
https://www.kawasaki-motors.com/ → カワサキをお持ちの方へ → モーターサイクル ならし運転について

カワサキは、
期間は1,000km走行するまで。
エンジン回転数は排気量と距離で数値が決まっている。
Ninja ZX-25Rだけ例外。
となっていますね。
ヤマハ・スズキ・カワサキの走行距離1,000kmというのは、一般的に初回点検を行う距離でもあります。
所長から一言。(まとめ)

慣らし運転を行うと
・ホンダ。
「より良い状態を保てる」
・ヤマハ・スズキ・カワサキ。
「寿命を延ばす」
なるべく慣らし運転は行ったほうが良さそうですね。

慣らし運転の方法は、
・ホンダ。
走行距離500kmまで大人しく走る。
50cc以下のスクーターは100km、競技用は25km。
・ヤマハ。
車種によって変わるので取扱説明書を確認。
・スズキ。
車種によって変わるので取扱説明書を確認。
・カワサキ。
399cc以下:200kmまで4,000rpm。350kmまで6,000rpm。1,000kmまで控えめに運転。
400cc以上:350kmまで4,000rpm。600kmまで6,000rpm。1,000kmまで控えめに運転。
Ninja ZX-25R:200kmまで6,000rpm。350kmまで8,000rpm。1,000kmまで控えめに運転。

エンジン・レバー・ペダル・サスペンション・トランスミッション(ギアチェンジの為の機構)等々、
動く部品の全てを馴染ませるために、発進・停止・ギアチェンジの多い一般道での慣らし運転が良さげ。
満期が近い方、任意保険を探している方、一括見積もりで色々な会社を比較できます。
SBIホールディングス株式会社が運営する、バイク保険一括見積もりの「インズウェブ」
見積もりは無料。
公式サイト:バイク保険一括見積もり
バイク保険の基礎知識は、こちらの記事をご覧ください。
写真で一括査定、ネットで完結「KATIX」
詳細記事。
今回の関連記事。別タブで開きます。