電装品を自分で取り付けるときや、外したときに「絶縁テープ」を巻かなければいけないことがあります。
てきとうにグルグルと巻いときゃいいんじゃないの?
ショート回避の為ですから、適当に巻いて外れたり、絶縁できていなかったりしたら困りますよ。
基本となる巻き方が「内線規程」で定められています。
内線規程は「社団法人日本電気協会」が定める規格です。
電力会社が重要施設を検査するときの基準として使われており、内線規程をまとめた本は、電気工事士の人が辞書のように使っています。
参考リンク:日本電気協会。
最初は基本情報、その後に巻き方です。
知ってる情報は飛ばして下さい。
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絶縁テープの特徴。
種類は主に 3種類。
- ビニールテープ。
- アセテートテープ。
- 自己融着テープ。
ビニールテープ。
表面がPVC(ポリ塩化ビニル)、裏側に接着剤を使ったテープ。
いわゆる一般的なビニールテープです。
耐久性が高く、低価格。(50円以下から購入可能)
どこにでも使えますが、経年劣化でベタついてきます。
破れにくい為、振動でこすれたり、ハンドルを動かすと接触するような場所に向いています。
・サイズ。
JIS規格の規程にある、幅19mm・厚さ0.2mmが主流。
参考:JIS C 2336 : 2012
・保管方法。
直射日光、高温多湿を避けて冷暗所で保管。
いくつかの販売メーカーが購入時と同じ状態での保管も推奨しています。
例:ビニール袋に入っていたなら、ビニール袋に入れて保管。
アセテートテープ。
表面がアセテート(半合成繊維)で、裏側に接着剤を使ったテープ。
ビニールテープの「布テープ」バージョンです。
ビニールテープよりベタつきにくく、耐候性も高め。
ただし価格も数百円~と、少し高めです。
手で簡単にちぎれるほど破れやすい為、接触する可能性がある場所には向いていません。
接触しない場所ならどこでも使えますが、柔軟性が高いので、特にデコボコした場所に向いています。
配線コードを束ねる「ハーネステープ(結束テープ)」として使うのにも向いています。
・サイズ。
幅19mm・厚さ0.23mmぐらいが主流。
ビニールテープより少しだけ分厚くなっています。(ビニールテープは厚さ0.2mmが主流)
・保管方法。
直射日光、高温多湿を避けて冷暗所で保管。
いくつかの販売メーカーが購入時と同じ状態での保管も推奨しています。
例:ビニール袋に入っていたなら、ビニール袋に入れて保管。
自己融着テープ。
接着剤の代わりに、ブチルゴムなど他の素材を使ったテープ。
ブチルゴムは、ゴム同士がくっつく性質が有り、巻き付けて暫くすると「ひとかたまりのゴム」のような形になります。
接着剤を使わないのでベタつきません。
また、粘性があって隙間を埋めていくので、防水効果が高めで絶縁部分が劣化しにくい、サビにくいという利点もあります。
暑いとゴムが軟化する、冬場は暖めてから使用するなど取り扱いには注意が必要です。
値段は数百円~とちょっと高め。
寒冷時には、着衣のポケットに入れるなどして、少し温めて(テープ温度:+5℃~+30℃)使用してください。
古河電工パワーシステムズ:https://www.feps.co.jp/products/electro/
・サイズ。
幅19mm・厚さ0.5mmあたりが主流。
ビニールテープの倍以上の厚さです。
・保管方法。
直射日光、高温多湿を避けて冷暗所で保管。
いくつかの販売メーカーが購入時と同じ状態での保管も推奨しています。
例:ビニール袋に入っていたなら、ビニール袋に入れて保管。
自己融着テープの種類。
自己融着テープは、主に 2種類あります。
- ブチルゴムのみ。
- 表にPE(ポリエチレン)、裏側にブチルゴム。
ブチルゴムのみの製品は、表面保護の為に 上からビニールテープなどを巻くことが推奨されています。
PEとブチルゴムの製品は、PEが表面を保護してくれます。
※商品説明や商品仕様で、使われている素材を確認するようにして下さい。
定番商品の古河電工「エフコテープ」だと、
・エフコテープ1号が、ブチルゴムのみ。
・エフコテープ2号が、PEとブチルゴム。
1号(ブチルゴムのみ)の存在意義は?
1号(ブチルゴムのみ)は柔軟性が高いんです。
凄くデコボコした場所に自己融着テープを使いたいときは、1号を巻いてから2号やビニールテープを巻きます。
自己融着テープは、どこにでも使えて耐候性も高めです。
しかし、外すのは少し面倒です。
ゴムのかたまりとなっている為、外すときはカッターナイフなどで切ります。
中の配線コードを切らないように細心の注意が必要です。
一般的に、PEよりPVC(ビニールテープ)のほうが耐久性は少し高くなります。
あまりないとは思いますが、接触しまくる場所はビニールテープを使っておくのが無難でしょう。
メーカーによって商品名、ラインナップ、サイズが違います。
・例。(一部です。ラインナップ全てではありません)
古河電工
・ブチルゴムのみ。
・PEとブチルゴム。
日東
・ブチルゴムのみ、セパレーター(剥離紙)付き。
・ブチルゴムのみ、セパレーターなし。
3M
・ブチルゴムのみ。
・PEとブチルゴム。
・エチレンプロピレンゴム(ブチルゴムと似た素材)を使用。
・厚さが0.5mm以上の製品も多い。
商品説明をよく確認して下さい。
シリコン素材の自己融着テープ。
有名メーカー各社、ブチルゴム以外にシリコン素材の自己融着テープを販売しています。
防水性が高く、水漏れ補修によく使われます。
価格は高め。(有名メーカーの製品は、千数百円以上のものが多い)
バイクの電装品の接続場所は、だいたいシート下など濡れないところですから、バイク用として使うことは ほとんどないでしょう。
※ブチルゴムの自己融着テープも、そこそこの防水性があります。
絶縁テープの巻き方。
内線規程にあるビニールテープの巻き方です。
バイクに付いている配線コードに巻いていく想定で説明していきます。
事前準備。
まず、バッテリーのマイナス側を外しておきます。
それまでの作業で外している場合は必要ありません。
次に、巻く場所と手を綺麗にしておきます。
ホコリや油汚れが付いていると、くっつきにくくなります。
よっぽど酷い汚れじゃない限り、ウエス(タオル)で拭いておけばOK。
あまりないとは思いますが、配線コードに油汚れが付きまくっている場合は、洗剤で落としてから乾いたウエスで拭き、完全に乾いてから次の作業に移って下さい。
少し離れた場所から巻いていく。
絶縁したい部分(画像:赤丸)から数センチほど離れた位置で、配線コードに対して直角に一巻きします。
テープは切らずに5cmぐらいずつ出しながら巻いていきます。
あまり多く出すと、よれてしまって上手く巻けないおそれがあります。
巻く向きは決まっておらず、どちらでも構いません。
コードの向こう側から手前に持ってくるときに、コードの下を通すのが一般的です。
テープの持ち方も特に決まりはないですが、中に指を入れる形が主流です。
半分以上重ねながら巻いていく。
テープを斜めにして、軽く引っ張りながら「テープの幅の半分以上を重ねて」巻き進めます。
斜めに巻いていくと、どうしてもダブつく部分が出ます(画像:赤丸)。
軽く引っ張りながら、ときには指で押さえて、ダブついた部分を押さえこみながら巻いて下さい。
引っ張っりながら巻くことで、全体的に隙間を少なくすることが出来ます。
※隙間が多いと しっかり巻きにくくなりますし、サビやすくなります。
コードの下を通す巻き方。
- 配線コードの下から手を入れて、コードの向こう側にあるテープを持つ。
- 軽く引っ張りながら手前へ
- 約 1周巻くと、コードが邪魔で巻けなくなるので、
- 手を離し、コードの下から手を入れて、また同じように巻いていく。
反対向きに巻いていく。
絶縁したい場所から数センチほど離れた位置まで巻いたら、反対向きに巻いていきます。
同じように軽く引っ張りながら半分以上重ねて巻いて下さい。
最初の位置から半幅先まで巻く。
最後は、最初に巻いたテープから半分ぐらい出るように巻いて(画像:赤丸)、ハサミやカッターで切ります。
切ったところをしっかりと押し付けたら完成です。
※綺麗に半幅出す為に、最後の 3巻きぐらいは徐々にコードに対して直角になるように巻いています。
内線規程にある基本的な巻き方です。
会社、電気工事士さん個人によって、巻き方は多少の違いがあります。
最初から斜めにして巻いていくパターンが多いようですね。
巻く回数について。
内線規程では、2回以上(1往復以上)巻く。となっています。
「配線コードの被覆と同等以上の厚さとなるように」との規程もあります。
配線コード の太さ | 被覆の厚さ (目安) | 巻き数 |
---|---|---|
3.5sqまで | ~0.8mm | 2回(1往復)以上 |
8sqまで | ~1.2mm | 3回(1往復半)以上 |
22sqまで | ~1.6mm | 4回(2往復)以上 |
一般的なビニールテープの厚さは0.2mm。
重ねながら巻いているので、
1回で2層、0.4mm。
2回(1往復)で4層、0.8mm。
アセテートテープ・自己融着テープの巻き方と巻き数。
巻いていく動作は同じです。
自己融着テープは引っ張り方(伸ばし方)に違いがあります。
アセテートテープ。
巻き方は基本的にビニールテープと同じです。
破れやすいので、引っ張りすぎないように注意して下さい。
厚さは 0,23mmが主流で、ビニールテープとあまり変わりません。
巻く回数も基本的に同じです。
自己融着テープ。
・ブチルゴムのみ。
2~2.5倍に引き伸ばして巻いていきます。
最後だけは引っ張らずに終えます。
カッターなどで切って、しっかり押し付けて終了。
※メーカー、製品によって伸ばす量には多少の違いがあります。
商品説明を確認して下さい。
自己融着テープの厚さは、0.5mmが主流です。
厚さ0.5mmの場合、自己融着テープを1回巻いて、上からビニールテープを1回巻いて保護することが推奨されています。
※配線コードが太くなれば巻き数も増やします。
・PEとブチルゴム。
幅が 1~2mm細くなるぐらい、引っ張りながら巻いていきます。
自己融着テープの厚さは、0.5mmが主流。
厚さから考えれば巻き数は、ビニールテープの半分です。
ただ、念のために最低でも 1往復は巻かれることが多いようです。
自己融着テープは、引っ張らないと接着力が弱くなります。
商品説明どおりに引っ張って巻くようにして下さい。
所長から一言。(まとめ)
・ビニールテープ。
耐久性が高い。こすれたり当たったりする場所に最適。
経年劣化でベタつく。
・アセテートテープ。
ベタつきにくい。しかし破れやすい。
接触する可能性がない場所に向いている。
値段はちょっと高い。
・自己融着テープ。
ベタつかない。
基本的にどこでも使える。
ただ値段はちょっと高い。
主に 2種類あるので注意。
- ブチルゴムのみ。
- PEとブチルゴム。
※「ブチルゴムのみ」は、上からビニールテープや「PEとブチルゴム」を巻いて表面を保護します。
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調べたい商品が決まっている方は、検索ボックスにメーカー名や商品名など(古河電工、エフコテープなど)を足して検索して下さい。
※エフコテープ 1号は「ブチルゴムのみ」
エフコテープ 2号は 「PEとブチルゴム」
よっぽどデコボコした場所でない限り、2号を使います。
バイクの配線コードの途中に別のコードを繋ぐ (コードの分岐) ことが出来るスプライス端子。
繋いだ後は、ショート回避の為に絶縁テープを巻きます。