洗車や整備のときに使う作業用の手袋について。
バイクの整備用は「メカニックグローブ」とも呼ばれます。

ベテランは、素手で作業する人が多いイメージ。

プロでもほとんど素手で作業する人がいますね。
でも、手袋をつける大きなメリットが 2つあります。
・作業用手袋の分かりやすいメリット。
- 怪我をしにくい。
- 手が汚れにくい。

怪我をしそうな危険な作業なんて、めったにないでしょ?

バイクの金属部品に手の甲が当たると意外と痛いですよ。
洗車時、手がふやけているときは、角張った所に指先が当たっただけで切れることもあります。
利き手の指先が切れると、実生活でめちゃくちゃ困ります。
※全て経験談。

「手が汚れにくい」は、分からなくもないけど。

問題は油汚れ。
手に付いた油汚れを洗って落とすより、手袋をつけるほうが楽なことが多いです。

・滑りにくいので、力を必要とする作業が楽になる。
・冬は素手より温かい。
という利点もありますね。

一方、
・細かい作業はやりにくい。
・夏は蒸れる。
・短時間の作業では付けるのが面倒。
といったデメリットもあります。

作業内容や季節によって、使ったほうが良いこともありそうですね。
アレルギーについて。
天然ゴムに含まれている「ラテックス」によって、アレルギー反応が起こるおそれがあります。
手荒れ、かぶれ等が見られたら、使用を中止して下さい。
※まれに、天然ゴム以外の素材でもアレルギーが起こる可能性があります。
作業用手袋は低価格で色々な素材がありますから、肌に合う素材を探してみてください。
作業用手袋の種類。

大きく分けて、4種類。
- ゴム手袋、ビニール手袋。
- 背抜き 手袋。(ゴム引き、手のひらコーティング)
- 本革、合成皮革 タイプ。
- 使い捨て。
通販はもちろん、ホームセンターやワークマン等に買いに行っても、もの凄い数の作業用手袋が売っています。

種類や素材の特徴を知っておかないと、どれを選べばいいのか迷ってしまうと思います。
種類・素材について順番に説明していきます。
ゴム手袋、ビニール手袋。

右:一般的なビニール手袋。
破れない限り、手が濡れたり汚れたりしません。
ぴったりフィットする製品は少なく、細かい作業には不向きです。
洗車などで使うのに向いています。
通気性が無く、裏地の無いものが多い為、夏は蒸れます。
冬もだんだんと冷たくなってきます。
真夏、真冬に長時間の作業をするときは、薄手のインナー手袋を使うのがおすすめです。

100円ショップの園芸コーナーにある手袋やドライブ手袋でも十分効果はあります。
ゴム・ビニール手袋には、かなり厚手の製品もあります。
厚手の製品は、絶対に手を濡らしたくないときの「レイングローブ」として使えます。
ゴム手袋、ビニール手袋の主な素材。
ゴム系。
- 天然ゴム。
- ニトリルゴム。
- クロロプレン。(ネオプレン)
樹脂系。
- PU (ポリウレタン、ウレタン)
- PVC (ポリ塩化ビニル、塩化ビニル樹脂)
・天然ゴム。
他の素材に比べて耐油性に劣るので、油が付きやすい作業には向いていません。
洗車、短時間の作業向き。
伸縮性、柔軟性が有り、価格が安いというメリットがあります。
・ニトリルゴム。
耐油性に優れているので、バイク整備全般に使うなら、天然ゴムよりおすすめ。
ゴムなので伸縮性もあります。
・クロロプレン。
伸縮性が有り、耐油性にも優れており高寿命。
ただし、値段は高い。
・PU、ポリウレタン。
耐油性に優れており、ゴムのような伸縮性もあります。
一部、透湿防水(汗の湿気を逃がし蒸れにくい)の製品もあります。
デメリットは加水分解によって劣化しやすいこと。
・PVC、ポリ塩化ビニル。
耐油性は高めですが、PUほどの伸縮性はありません。
PUより高寿命、価格が安いというメリットがあります。

どの素材も、サビ取り剤によく使われる「リン酸」に強いので、サビ取り剤の使用時にも使えます。
背抜き手袋。(ゴム引き手袋)

- 左:軍手にゴムコーティング。
- 右:薄手の生地にゴムコーティング。
手のひら側にだけ「ゴムコーティング」や「ポリウレタンコーティング」を施したタイプ。
薄手の製品はぴったりとフィットする為、ある程度 細かい作業でも使えます。
背抜き手袋の特徴。
・手のひら側は濡れにくい、汚れにくい。
・ゴムもポリウレタンも伸縮性が有り、動かしやすい。
・手の甲側は通気性が有り、蒸れを少し軽減できる。
・汗をかきやすい手のひら側は蒸れる。
滑り止め効果が強力なタイプ。

商品説明に「強力滑り止め」などと書かれている製品は注意が必要です。

滑り止めが効きすぎると使いにくいことが多いんです。
・強い力が必要な作業。
・油が付きやすい(滑りやすい)作業。
などには向いています。
背抜き手袋(コーティング部分)の主な素材。
ゴム系。
- 天然ゴム。
- ニトリルゴム。
樹脂系。
PU (ポリウレタン、ウレタン)
・天然ゴム。
耐油性に劣る為、油が沢山付きそうな作業には不向きです。
価格が安いというメリットがあります。
・ニトリルゴム。
耐油性に優れている為、色々な作業に使えます。
天然ゴムより少し高額。
・PU、ポリウレタン。
耐油性に優れている為、色々な作業に使えますが、加水分解で劣化しやすい素材です。
天然ゴムより少し高額。

ニトリルゴムの背抜き手袋。
耐油性が有り、PUより高寿命。
特に こだわりが無ければ、ニトリルゴムがおすすめ。
本革、合成皮革。

本革(天然の革)の作業用手袋は、全体に革が使われている製品が主流です。
本革製品の特徴。
・強度、耐久性が高い。
・適度な滑り止め効果。
・通気性が有る。
・分厚いので細かい作業には不向き。
・値段が高め。
・水や油は染みこむ。
※厚みがあるので、すぐに手が濡れる、汚れるということはありません。
バイク整備では、油汚れで手袋が汚れてしまうことが多いです。

高価な革手袋を使うのはちょっともったいないですね。
整備専用なら、安い製品がおすすめです。
ただし、「握った形」「指を曲げた形」に裁断されているかチェックするようにして下さい。
握った形に裁断されていないと、工具や洗車ブラシを持ったときに突っ張ってしまいます。
合成皮革。

合成皮革の手袋は、手のひら側にだけ革が使われている製品が主流です。

メカニックグローブと言えば、コレだよね。
合成皮革製品の特徴。
・強度が高い。
・適度な滑り止め効果。
・手のひら側にも多少の通気性が有り蒸れにくい。
※素材が合成皮革によく使われるポリウレタン、マイクロファイバーなら多少の通気性があります。
※指の側面に通気用の穴を開けている製品もあります。
・分厚いので細かい作業には不向き。
・水や油は染みこむ。
※厚みがあるので、すぐに手が濡れる、汚れるということはありません。
昔はバイクの作業用グローブといえば、このタイプでした。
現在は、細かい作業がやりやすい「背抜き手袋」が主流となってきています。
使い捨て。

- 左:簡易的なビニール手袋。
- 右:手にフィットする手袋。
手にフィットする製品は、ある程度 細かい作業も可能です。
基本的に かなり薄い為、※耐久性は低めです。
※使い捨てといっても、丁寧に使えば何度か再利用できます。
薄さを生かして、手を濡らしたくないときに「背抜き手袋」「革手袋」の下に付ける。という使い方が出来ます。

使い捨てのビニール手袋を下に付ければ、手の甲側も濡れなくなります。
真冬の洗車などでおすすめの使い方。
使い捨て手袋の主な素材。
ゴム系。
- 天然ゴム。
- ニトリルゴム。
樹脂系。
- ポリエチレン。
- PU (ポリウレタン、ウレタン)
- PVC (ポリ塩化ビニル、塩化ビニル樹脂)
・天然ゴム。
ゴムなので伸縮性があります。
価格は安め。
耐油性が無い為、油が付きそうな作業には不向き。
・ニトリルゴム。
伸縮性が有り、耐油性もあります。
バイク整備では天然ゴムより使いやすい素材です。
・ポリエチレン。
耐油性はありますが、伸縮性はなし。
価格は非常に安いものが多いです。
・PU、ポリウレタン。
柔軟性が有り、耐油性もあります。
ただし、加水分解で劣化しやすい素材です。
・PVC、ポリ塩化ビニル。
耐油性あり。
PUほどの伸縮性はありませんが、PUより高寿命。
作業用手袋の洗濯。
洗濯表示があるなら、表示に従って下さい。
参考リンク:消費者庁 新しい洗濯表示。
皮革製品以外の洗濯。
- 中性洗剤で優しく洗う。
- タオルで水気を取る。
- 風通しの良い場所で陰干し。
皮革製品の汚れ取り。

- 基本は乾拭き、もしくはブラッシング。
- たまに保革オイルを塗る。
汚れがひどい場合。
- レザーソープなど革用の洗剤を使って汚れを拭く。
もしくは革用の洗剤を使って水洗い。 - ウエスで挟んで水分を取る。
※色移りするおそれがあります。 - 乾く前に、手に付けて形を整える。
- 風通しの良い場所で陰干し。
- 乾いたら保革オイルを塗る。
内側の乾かし方。

水分を吸ってくれそうな手袋の上から付けると、中の水気を少し取ってくれます。
他には、
・定番の方法である「新聞紙を詰める」
・エアコン、扇風機の風が内側に当たる場所に置く。
といった方法があります。
所長から一言。(まとめ)

- ゴム、ビニール手袋。
洗車向き。 - 背抜き手袋。
色々な作業に使える。おすすめ。 - 革手袋。
耐久性が高い。手のひら側も蒸れにくい。 - 使い捨て手袋。
背抜き、革手袋の下に付けるなど補助向き。
耐油性と伸縮性。
素材名 | 耐油性 | 伸縮性 |
---|---|---|
天然ゴム | なし | 有り |
ニトリルゴム | 有り | 有り |
クロロプレン | 有り | 有り |
PU | 有り | 有り |
PVC | 有り | 少し有り |
ポリエチレン | 有り | なし |

最初の一双は、
耐油性、伸縮性があり、価格が安めで劣化しにくい「ニトリルゴムの背抜き手袋」がおすすめ。
洗車で手を濡らしたくない場合は、ゴム・ビニール手袋か、使い捨て手袋。
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