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2ストロークエンジンの仕組み、構造

2ストロークエンジン、イメージ図
山田
山田

略して 2スト!

昔はよく使われてたって聞くよ。

鈴川
鈴川

2ストロークエンジンの構造上、排気ガスをキレイにすることが難しく、2000年ぐらいから徐々に減っていきました。

※高出力なエンジンなので、2020年代でも競技用車両や、一部のスポーツタイプのバイクに採用されています。

排気ガスに含まれる有害物質の量を規制する「自動車排出ガス規制(排ガス規制)」は1966年に施行。

神崎
神崎

「排ガス規制」は、1〜2年ごとぐらいに基準が厳しくなっていき、日本では 2ストロークエンジンの公道走行可能なバイクは なくなりました。

その後は 4ストロークエンジン採用車、又は電動バイクへと変わっていきました。

4ストロークエンジンについては、こちらをご覧ください。

別タブで開きます。最後にも関連記事の一覧があります。

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2ストロークの意味

2ストロークエンジンの仕組み、イメージイラスト

ガソリンエンジンは「吸入、圧縮、燃焼、排気」という 4つの工程を繰り返します。

ピストン(イラストの緑矢印)が上昇するときに「吸入」と「圧縮」、下降するときに「燃焼」と「排気」

ピストンが 2回動く(2ストローク)間に、「吸入、圧縮、燃焼、排気」を行うのが 2ストロークエンジン。

「吸入、圧縮、燃焼、排気」 4つの工程をまとめて「サイクル」と表現する為、
正確に言うと、
「2ストローク/1サイクル」又は「2ストロークサイクル」と言います。

ただ日本では色々と略して「2サイクル」と呼ばれることもあります。

内部パーツの動きについて↓

ピストンの上下動をコンロッドとクランクシャフトで回転運動に

点火プラグ(スパークプラグ)でガソリンに点火。
爆発的な燃焼力でピストンを押し下げます。

ピストンの上下の直線運動は、コネクティングロッド(コンロッド)で回転運動に変換。
クランクシャフトを回転させます。

この回転が最終的に後輪にまで伝わって、バイクを前に進めます。

※4ストロークエンジンは、ピストンが「下→上→下→上」と 4回動く間に「吸入、圧縮、燃焼、排気」を行います。

4ストロークエンジンの仕組み、イメージ図

2ストロークの「吸入」「圧縮」

2ストロークエンジン、吸入・圧縮

・吸入工程
「ピストン」が下から上に昇上していくときに「吸気ポート」から空気が入ってきます。

空気が流入するときに、キャブレター(電子制御の場合はインジェクター)からガソリンが噴射され、空気と混ざって「混合気」となります。

・圧縮工程
ピストンが上昇するにつれて、ピストンの上にある混合気が圧縮されていきます。

※圧縮工程と同時に「吸入」工程も続いています。

細かい説明。

・吸入工程
ピストンが下から上に向かうと、クランクケース内の体積が増えて負圧(圧力が低い状態)となります。
気体は圧力の高いほうから低いほうへ流れる為、空気が吸い込まれます。

2ストロークエンジン、吸入時のリードバルブの動き

ピストンが上昇する前は「リードバルブ」が閉じています。
ピストンが上昇して「掃気ポート」を塞いだ時点でクランクケース内が密閉された状態となります(イラスト左側)

更にピストンが上昇すると、密閉された空間の体積が増えて負圧が発生。
そこでリードバルブが開いて混合気が流入(イラスト右側)

※実際はピストン上部の空気の圧力などから掃気ポートが閉じられるほんの少し前に負圧が発生します。

・圧縮工程
気体は圧縮されると温度が上がる為、次の工程である「燃焼」の効率がよくなるという効果が得られます。

鈴川
鈴川

2ストロークエンジンは、ピストンが下から上に 1回移動する間に、「吸入」「圧縮」の 2工程を行います。

2ストロークの「燃焼」「排気」

2ストロークエンジン、燃焼・排気

・燃焼工程
ピストンがいちばん上(上死点)あたりに来ると「点火プラグ」に点火。
爆発的な燃焼を起こして気体は膨張し、ピストンを押し下げます。

ピストンが下がるときには、逆流防止の「リードバルブ」が閉じられ、混合気が外へ出ていくのを防ぎます。

・排気工程
ピストンが下がっていくと「排気ポート」が開き、燃焼後のガス(排気ガス)を外へ排出します。

更にピストンが下降すると「掃気ポート」も開き、混合気が流入して、燃焼後のガスと入れ替わります。

細かい説明。

気体は圧縮されたり、温度が上がると圧力が高くなる為、「圧縮」後に「燃焼」を行ったガスは かなりの高圧となります。
ピストン下降によって、燃焼室(ピストン上側の燃焼が行なわれる空間。下のイラスト参照)の体積が増えて圧力は少し下がりますが、まだ圧力は高めです。
空気は圧力の高いほうから低いほうへ移動するので、排気ガスは外へと出ていきます。

2ストロークエンジン、掃気ポートから混合気が流入

ピストンが下がっていくときには「リードバルブ」が閉じられ、ピストン下側の空間は密閉されます。
密閉された状態からピストンが下がることによって「混合気」は圧縮されます(圧力が高くなる)

ピストン下降によって「掃気ポート」が開くと圧力の高まった混合気が「燃焼室」に流れ込み、排気しきれなかった燃焼後のガスを追い出します(イラスト右側)

※ピストンが収まっている部分全体を「シリンダー」と言い、シリンダー内の燃焼が行なわれる空間(ピストン上側の空間)を「燃焼室」と呼びます。

鈴川
鈴川

2ストロークエンジンは、ピストンが上から下に 1回移動する間に、「燃焼」「排気」の 2工程を行います。

2ストロークエンジンの吸気方法の種類

バイク用 2ストロークエンジンでは、主に 4種類の吸気システムがあります。

  1. ピストンバルブ
  2. ピストンリードバルブ(シリンダーリードバルブ)
  3. クランクケースリードバルブ
  4. ロータリーディスクバルブ

順番に説明していきます↓

ピストンバルブ

ピストンバルブ

上下に動く「ピストン」の側面で、「吸気ポート」を閉じたり開いたりする方式。

ピストンが上がっていくと吸気ポートが開き(イラスト左側)
ピストンが下がっていくと吸気ポートが閉じます(イラスト右側)

バイク用 2ストロークエンジンでは、初期の最もシンプルな方式です。

追加の部品が必要ない為、軽くて低価格で作れますし、関連部品が壊れるリスクもありません。

ただし、逆流防止の機能がなく、吸気ポートから吸入した混合気が出ていってしまう可能性があります。

また、吸入タイミングがピストンの動きで決まってしまっており、ベストのタイミングで吸入できない場合もあります。

ピストンリードバルブ(シリンダーリードバルブ)

ピストンリードバルブ(シリンダーリードバルブ)

ひとつ上で説明した「ピストンバルブ」に、逆流防止の「リードバルブ」を取り付けた方式。

ピストンが上がるときにはリードバルブが開いて混合気を吸入(イラスト左側)

ピストンが下がるときにはリードバルブが閉じられて、吸入した混合気が逆流するのを防ぎます(イラスト右側)
上記ピストンバルブ方式のデメリットをひとつ解消した方式です。

吸入タイミングがピストンの位置で決まってしまっている。というデメリットは残っています。

クランクケースリードバルブ

ピストンリードバルブとクランクケースリードバルブ

イラスト左:
「ピストンバルブ」や「ピストンリードバルブ」は、ピストンが収まっている「シリンダー」に吸気ポートがありました。

イラスト右:
「クランクケースリードバルブ」は、クランクシャフトが収まっている「クランクケース」に吸気ポートを取り付けた方式です。

クランクケースリードバルブ

ピストンが上がりはじめて負圧が発生すると、リードバルブが開いて吸入。

ピストンが下がりはじめると、リードバルブが閉じて逆流を防止。

ピストンの位置に関係なく、負圧となったときに吸入を開始できるので、効率よく混合気を吸入できます。

「ピストンバルブ」「ピストンリードバルブ」のデメリットを解消した方式です。

鈴川
鈴川

主なバイク用 2ストロークエンジンでは、いちばん新しい方式です。

神崎
神崎

多くのバイクに採用されており、今回の記事でも「クランクケースリードバルブ」で説明しました。

ロータリーディスクバルブ

ロータリーディスクバルブ

ロータリー(回転する)ディスク(円盤)で、吸気ポートの開閉を行う方式。

クランクシャフトにディスクを固定して一緒に回転させます。

※クランクシャフトを省略して分かりやすくした図

ロータリーディスクバルブ簡略図

円の一部を切り取ったディスクが回転することで、吸気ポートが開いたり閉じたりします。

ディスクの形状や吸気ポートの形状を変えることで、吸入タイミング、吸入効率をある程度変えることが出来ます。

構造上、吸気ポートがエンジン横に付くことになり、エンジン幅が広くなるというデメリットがあります。

※古いベスパなど一部のバイクは、ディスクではなく、クランクシャフトの一部を切り抜いて穴をあけて吸気ポートの開閉を行います。

※バイク以外では、クランクシャフトとディスクの間に歯車や、歯車付きのシャフト(棒)などを設置して、ディスクを少し離れた位置に付ける場合もあります。

2ストロークエンジンの特徴

主なメリット

  • 4ストロークエンジンよりも部品点数が少ない。
  • 部品が少ないので軽く出来る。
  • 4ストロークエンジンよりも高出力。

「吸入」「圧縮」「燃焼」「排気」の 4つの工程のうち、ピストンを動かす力が働くのは「燃焼」工程のみです。

4ストロークエンジンは ピストンが4回動く間に「燃焼」1回。

ピストンが4回動いて、1サイクル

2ストロークエンジンはピストンが2回動く間に「燃焼」1回。

ピストンが上昇、下降の2回で1サイクルを完了

2ストロークエンジンは、4ストロークエンジンの 2倍の効率でピストンを動かせるということになり、同じ排気量であれば、2ストロークエンジンのほうが高出力なエンジンとなります。

※ただし、全てのエネルギーを100パーセント取り出せるわけではないので、単純に 4ストロークエンジンの2倍のパワーとはなりません。

2ストロークエンジンの主なデメリット

  • エンジンオイルが減っていく
  • 排気ガスをクリーンに保つことが難しい
  • 排気音が4ストロークよりも大きい
  • エネルギーロスが起こりやすい(燃費が悪くなる)

・エンジンオイルが減っていく
高温となって動き続けるエンジン内部には、潤滑及び冷却用の「エンジンオイル」が必要です。
4ストロークはピストンの上側で「吸入、圧縮、燃焼、排気」が行われる為、ピストンの下側(クランクケース内)にエンジンオイルを溜めておけます。

いっぽう、2ストロークはクランクケース内の混合気を燃焼させてしまうので、毎回 混合気にエンジンオイルを足す必要があります。

・排気ガスをクリーンに保つことが難しい
2ストロークは、エンジンオイルとガソリンの両方を燃焼させるので、ガソリンだけを燃焼させる 4ストロークよりも排気ガスを綺麗にするのが難しくなります。

・排気音が4ストロークよりも大きい
2ストロークは燃焼後の高圧な排気ガスをすぐに外へ出す為、排気音が大きくなりがちです。

・エネルギーロスが起こりやすい(燃費が悪くなる)
2ストロークは新しい混合気が燃焼後の排気ガスを押し出す形なので、排気ガスが少し残ってしまったり、新しい混合気が少し出ていってしまったりということが起こります。

また、「吸入」「圧縮」工程を同時に行う為、それぞれの工程を高効率で行うことが難しくなります。

※4ストロークはひとつひとつの工程を順番に行う為、エネルギーロスが出にくい。

山田
山田

2ストは、デメリットはあっても、軽くてハイパワー。

1980年代のレプリカブーム(スポーツタイプのバイクが大流行)の頃には沢山の2ストロークバイクが販売されていました。

神崎
神崎

私も一時期、古い2ストロークのバイクに乗っていました。

80km/hを超えたぐらいからスムーズになりだすような独特のエンジンフィーリングでした。

速かった。


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