ヒーター内臓の「電熱ウェア」
グローブ、ソックス、ベスト、パンツ、様々な種類があります。
今回は、ジャケット・ベスト・パンツを紹介。
・出先での故障。
暖かいからといって、あまりにも薄着でバイクに乗るのは危険です。
電熱ウェアが故障したときの事を考えておきましょう。
「フリースシャツ」や、小さく圧縮できる「インナーダウン」などを持っていければベスト。
近場でも「レインウェア」ぐらいは必ず持っておくようにしましょう。
種類。
給電方法(電源の取り方)は主に3種類。
- メーカー独自のモバイルバッテリーを使用。
- 市販のモバイルバッテリーを使用。
- バイクのバッテリーを使用。
形状、用途別で3種類。
- アウタータイプ。
- インナータイプ。
- バイク用以外の電熱ウェア。
アウター:いちばん外側に着るウェア。
インナー:バイク用ジャケットやパンツの下に着るタイプ。
順番に説明していきます。
給電方法。3種類。
1. メーカー独自のモバイルバッテリーを使用。
電熱ウェアは消費電力が高めです。
暖かくしようとすればするほど消費電力も上がります。
そこで電熱ウェアの販売メーカーが、大容量大出力のモバイルバッテリーも合わせて用意しておくというのが主流です。
多くのメーカーが3段階以上の温度調節機能を採用しています。
使用可能時間はメーカー(バッテリー容量)によって大きく違いますが、いちばん低い温度で6~14時間前後。
高温だと使用時間はかなり短くなるので、商品説明をよく見るようにして下さい。
一般的な使用方法。
ウェアに付いているコードと、モバイルバッテリーを接続。
専用ポケットにモバイルバッテリーを収納。
メリット。デメリット。
・メリット。
容量と出力が大きいので、ウェアの使用時間が長く、温度も高いものが多い。
接続、収納が楽。
・デメリット。
バッテリーの値段が高くなりがち。
メーカーによってはバッテリーのみは買えないことがある。
2. 市販のモバイルバッテリーを使用。
汎用のモバイルバッテリーは種類がとても豊富です。
容量・値段・大きさ等々、好きなバッテリーを使えます。
一般的な使用方法。
ウェアに付いているコードを、モバイルバッテリーに接続。
ウェアのポケットなどにモバイルバッテリーを収納。
バッテリーの収納場所は、商品説明でチェックしておきましょう。
容量の大きい(サイズの大きい)バッテリーを使用したいが、ポケットに入らない。そんなときは、延長コードを使ってアウターのポケットやタンクバッグに入れるなどの工夫が必要です。
メリット。デメリット。
・メリット。
バッテリーの値段が安く、入手しやすい。
予備のバッテリーを持っておきやすい。
・デメリット。
出力の低いバッテリーを使うと、ウェアの温度も低くなる。
商品説明どおりの性能を発揮できないときがある。といった表記をしているメーカーもあります。
3. バイクのバッテリーを使用。
安定して高出力が得られます。
(無茶な使い方でもしない限り)エンジンがかかっている間は何時間でも使用できます。
ただし接続は面倒。
乗り降りの度に、付け外しをすることになります。
同じメーカーで揃える利点。
例えば、電熱ジャケット・パンツ・グローブ・ソックスを同じメーカーにすると、
- バッテリーとジャケットを接続。
- ジャケットにグローブを接続。
- バッテリーとパンツを接続。
- パンツとソックスを接続。
- バッテリーとジャケットを接続。
- ジャケットにパンツとグローブを接続。
- パンツにソックスを接続。
といったように、バッテリーに繋ぐのはジャケットだけ。
他の電熱ウェアはバッテリーに繋がなくてもOK。といった運用が出来ます。
※メーカーによって多少の違いがあります。
ヒートマスター・ガービング・ウォーム&セーフ・コミネ等、いくつかの有名メーカーが採用している方式です。
※対応していない製品もあるので注意。
参考リンク:ガービング公式ページ。 別タブで開きます。
注意点。
電熱ウェアは消費電力が高めです。
一方、小排気量のバイクは発電能力が低めです。
電熱製品を繋ぐとバッテリーが減っていく可能性があります。
「小排気量のバイクに使わないように」と表示しているメーカーもあります。
大排気量のバイクでも、電熱製品を複数同時に使用すると発電が追い付かないことがあります。
もしバッテリーの電圧が下がってきたら、
・高温で長時間使用しない。
・モバイルバッテリーの製品と併用する。
などの対策を行って下さい。
一般的な使用方法。
- バッテリーのマイナス端子を外し、プラス端子を外す。
ショート回避のためにマイナスから外す。 - バッテリーのプラス端子とマイナス端子に付属の接続コードを接続。
ショート回避のためにプラスから接続。 - 説明書を見て製品に合ったヒューズを付ける。
最初から付いている製品もあります。 - シートの隙間などからコードの先を出す。
- ウェアに付いているコードと、シートの隙間から出したコードを接続。
- バイクから降りる際は、コードを外す。
シート下以外の場所にバッテリーが入っている車種は、コードを出しにくい場合があります。
自分で加工できそうにないときは、バイク屋に相談して下さい。
メリット。デメリット。
・メリット。
バイクに乗っている間は何時間でもずっと使える。
・デメリット。
乗り降りの度に付け外しが必要。
形状、用途別。3種類。
1. アウタータイプ。
電熱ウェアは 肌に近いほうが暖かさを感じられる為、インナータイプが主流です。
いちばん外側に着るアウタータイプは、ほとんどありません。
※バイク専用でなければ、アウタージャケット・パンツはそこそこあります。
食事休憩など、「アウターを脱いだ時の見た目」に拘れます。
お気に入りのインナーがある人や、肌が弱く低温やけどが恐い人に向いています。
プロテクター型。
バイク用ジャケットのプロテクター収納袋に入れる電熱ウェア。いや、電熱パット。
収納袋に入りさえすれば、どんなメーカーのウェアでも使えます。
アウターへの装着となるので、やはりインナータイプほど暖かくはなりません。
アウターもインナーもお気に入りのウェアが使えるという魅力があります。
あまり寒くない地方に住んでいる人や、レイヤード(重ね着)が完璧でそれほど寒さを感じない人に向いています。
2. インナータイプ。
コミネ EK-106 エレクトリックインナージャケット12V KOMINE 08-106 バイク 電熱インナー 秋冬
バイク用のジャケットやパンツの下に着ることを前提に作られています。
その為、基本的に防水・防風ではありません。
アウターは、しっかり防風できるものにしましょう。
レイヤード(重ね着)。
- 肌の上にアンダーウェア。
- その上に空気の層を作って断熱するインナーウェア。
- いちばん外側に風を防ぐアウター。
昔は冬にバイクに乗るなら、インナーには何枚か着るのが普通でした。
長袖Tシャツにフリースシャツ、その上にインナーダウンなど。
しかし、
電熱ウェアの下に たくさん着込むと暖かさを感じにくくなります。
薄手のアンダーウェアの上に着用すれば、暖かさを感じやすくなります。
「薄手のアンダーウェア」を推奨しているメーカーもあります。
・故障したとき用のウェアを持っていけない場合。
遠出するなら、あるていど着込んでいるほうが安心です。
そして冒頭にも書きましたが、故障に備えて「レインウェア」ぐらいは持っていきましょう。
3. バイク用以外の電熱ウェア。
バイク専用以外だと、乗車姿勢で「腕が突っ張る」「手首が出る」「足首が出る」「胸に隙間が出来て暖かさを感じにくい」といった弊害が起こります。
でも、
・ベスト型の電熱ウェア。
・膝をあまり曲げないスクーターやクルーザー。
・前傾姿勢にならないバイク。
など、バイク専用じゃなくても問題なく使用できる場合があります。
特に、ベスト型でインナーに使用できそうな電熱ウェアは、ほとんどのバイクで使えるでしょう。
注意点。
断線。
電熱ウェアは断線報告がよくあります。
電熱線ではなく、接続コードの断線が目立ちます。
接続コードは、強く動かしたり引っ張ったりすると断線の可能性が高まります。
脱着のときと、収納ポケットへの出し入れ時に丁寧に扱うようにしましょう。
電熱線、電熱パネルは、保管するときと洗うときに気を付けて下さい。
断線に強い新素材も出てきていますが、強く曲げると断線するおそれがあります。
保管するときに折りたためない可能性が高い。ということは、知っておいて下さい。
洗濯。
洗濯が可能なウェアでも、水洗い・手洗い・洗濯機・洗濯ネットを使うなど色々なパターンがあります。
必ずメーカーの説明どおりの方法で洗うようにして下さい。
バッテリーの長期保管。
6ヶ月以上使わないときは、バッテリー残量3/2~半分ぐらいで保管します。
満充電や残量ゼロでの保管は良くないとされています。
低温やけど。
44度~60度に長時間触れていると、やけどの症状が出ます。
症状は 3段階で4つ。
2度(深い)と3度は、傷跡が残ります。
症状 | 外見 | |
---|---|---|
1度 | 軽い痛み | 赤み |
2度(浅い) | 強い痛み | 水ぶくれ |
2度(深い) | 弱い痛み | 水ぶくれ |
3度 | 痛み無し | 黒や白に変色 |
製品安全協会(SG)の実験データによると、やけどの症状1度が出るまでの時間は、
44度:3時間20分。
46度:47分。
50度:2分45秒。
やけどの症状2度が出るまでの時間は、
44度:6時間30分。
46度:1時間30分。
50度:5分25秒。
参考リンク:低温やけどについて – 製品安全協会。 PDFファイルです。
やけどの症状が出たら、10分~30分ほど水で流して冷やし、すぐに病院へ行って下さい。
見た目から軽いと思っても、時間が経つにつれて酷くなっていくことがよくあるようです。
水ぶくれは潰すと跡が残ることがあります。自分で潰さないようにして下さい。
低温やけどにならないために。
- 長時間連続で使用しない。
- 高温は短時間にする。
- なるべく素肌に直接着ない。
といった対策を取りましょう。
素肌に直接着るアンダーウェア型の電熱ウェアは特に注意して下さい。
電熱ジャケット・ベストを選ぶ際のポイント。
- インナータイプは、厚さをチェック。
- バイク用以外は、自分のバイクの乗車姿勢をチェック。
インナータイプは、厚さをチェック。
上に着るジャケットがタイト目な場合は、薄手の電熱ウェアにしておかないとキツくて動きにくくなってしまいます。
バイク専用は厚手のものが多いので、商品レビューなどをよく見るようにして下さい。
・襟。首まわり。
首まわりが分厚い、又は大きいとアウターの襟元が窮屈になってしまいます。
襟も厚手の製品が多いので、ネックウォーマーなどで対策して下さい。
・隙間。
ブカブカで体と電熱ジャケットの間に隙間ができても暖かさを感じにくくなります。
重ね着で上手く密着するようにしましょう。
アウタータイプは?
バイク専用のアウタータイプは、いろいろ選べるほど種類がありません。
情報が少ないので、購入の際は慎重に。
商品説明をしっかりと読んで下さい。
バイク用以外は、自分のバイクの乗車姿勢をチェック。
・電熱ジャケット。
ジャケットは、スクーターのように ゆったりと乗れる車種なら、手首が少し出るぐらいで大きな問題は無いでしょう。
前傾姿勢になるバイクには向いていません。
・電熱ベスト。
ベストなら、前傾姿勢のバイクでもインナーとして使えそうな製品があります。
バイク用と同じく、厚さのチェックが重要です。
電熱パンツを選ぶ際のポイント。
コミネ EK-113 12Vエレクトリックインナータイツ KOMINE 08-113 電熱 バイク インナーウェア 秋冬
- インナータイプは厚さをチェック。
- バッテリーとスイッチの位置をチェック。
- 低温やけどに注意。
- バイク用以外は、足首が出ることを前提に。
インナータイプは厚さをチェック。
ジャケット・ベストと同じで、上にタイトなパンツを穿くなら「薄手」にしないと、窮屈で動きにくくなってしまいます。
上に穿くパンツがゆったりめでも、
「プロテクター付きのパンツ」は、電熱部分がキツく押さえつけられないかチェックしておいて下さい。
バッテリーとスイッチの位置をチェック。
モバイルバッテリー使用の場合、バッテリー収納場所とスイッチの位置は重要です。
インナータイプのバッテリー収納場所に、プロテクターが当たらないか等をチェックしておきましょう。
・スイッチのコードの長さ。
インナータイプのコードが短いと、アウターパンツを脱がないと温度調節やON OFFが出来ないということが起こります。
バイク専用なら考えられていることが多いですが、バイク用以外を購入したいなら、必ずチェックしておきましょう。
本体にスイッチが付いている場合は無理ですが、バッテリーにスイッチが付いていれば延長コードを使うなど対策できることもあります。
低温やけどに注意。
電熱パンツは、肌の上に直接着る「アンダーウェア型」も多いです。
低温やけどに気を付けて使用して下さい。
「低温やけど」については少し上で説明しています。
バイク用以外は、足首が出ることを前提に。
バイクに乗って膝を曲げると、パンツの裾がズリ上がります。
シートに股部分を押さえられるので、ただ膝を曲げただけよりも大きくズリ上がります。
※膝をあまり曲げないスクーターやクルーザーは大丈夫。
バイク専用。
足首が出ないよう、以下のような対策がされています。
- 長めに作られている。
- 長めで、ストレッチ素材を使用。
- ずり上がらないように、足の裏に回すベルト付き。
バイク用以外を使うときは。
バイク用以外の電熱パンツは、「足首が出てしまう」と考えておいたほうがいいでしょう。
足首の冷えが気になるときは、
長めのソックスやレッグウォーマーなどで対策して下さい。
バイク用 電熱ウェアの有名メーカー。
有名メーカーは情報が多く、オプション品も充実。
保証期間が明記されていたりもするので、こだわりが無ければ有名メーカーの製品がおすすめ。
ただし価格は高めです。
- RSタイチ。
2022年はモバイルバッテリー使用製品のみです。
※車載バッテリー用のコードに不具合があったようです。
- コミネ。
公式ページは極端に情報が少ないので、amazonなどで詳細を確認して下さい。
- HEAT MASTER。(ヒートマスター)
夏用アンダー、冬用アンダーなどを製造している株式会社リベルタの電熱ウェアブランド。
レビュー評価が高い。価格はちょっと高め。
- GERBING。(ガービング)
1976年から電熱ウェアを作っていた老舗メーカー。
電熱線はステンレスワイヤーをまとめてパッド状にしており、「断線はほぼ皆無」とのこと。
品質は高いが、価格も高い。
- Warm & Safe。(ウォーム & セーフ)
高品質で、アメリカ イリノイ州警察、スウェーデンの白バイ隊が採用しています。
※RSタイチ電熱シリーズ公式ページ。 別タブで開きます。
「とりあえず試してみたい」という人は、低価格製品の電熱ベストあたりから試すのがいいと思います。
電熱ウェアのレビューや商品詳細はこちらからご覧ください。
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調べたい商品が決まっている方は、検索ボックスにメーカー名などを足して検索して下さい。
所長から一言。
バイクに乗るときは腕を伸ばし、膝を曲げます。
「電熱ジャケット」と「電熱パンツ」は、乗車姿勢を考えて作られている「バイク用」がおすすめ。
「電熱ベスト」は、バイク用じゃなくても「インナー」として使えます。
膝をあまり曲げない車種なら、バイク用以外の電熱パンツでもOK。