
あんまり気にしたことないなぁ。

実証実験や事故統計から、ある程度の目安となる距離が分かっています。

今回は安全な車間距離の目安と計り方(測り方)を解説。
警察庁など、信頼性の高い情報を中心に解説します。
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車間距離の定義
道路交通法第26条に書かれています。
車両等は、同一の進路を進行している他の車両等の直後を進行するときは、その直前の車両等が急に停止したときにおいてもこれに追突するのを避けることができるため必要な距離を、これから保たなければならない。
出典:道路交通法第二十六条(車間距離の保持)
簡単にまとめると「前車が急停止しても追突しない距離」となります。

何メートルかは書いてないよ。
というか、そもそも車間距離ってどうやって測るんだろう?
目測で正確な距離を測るのは難しいので、秒数を数えます。
車間距離(車間時間)の計り方

街灯など基準となるものを決め、
前車が通過してから、自車の先端が到達するまでの時間を計ります。
後ほど解説しますが、主に 2秒以上、又は 3秒以上の距離を空けることが推奨されています。
数え方
- 「イチ、ニ・・・」と数えると、実際の秒数よりも早くなる傾向がある
- 数えている間、数えることに集中してしまい車間距離が微妙に変わってしまう
という実験結果があります。
なるべく安全な車間距離を保つ為に、
「ゼロイチ、ゼロニ・・・」と、ゼロを付けて数える方法が主流です。
参考
日本交通心理学会:車間時間に関するドライバーの時間知覚の精度についての研究
高速道路での車間距離の測り方
高速道路では車間距離を測れるものが設置されています。
車間距離確認表示板

制限速度80km/h:40mごとに設置。
制限速度100km/h:50mごとに設置。
NEXCOでは、原則各 IC(インターチェンジ)間に 1カ所ずつ設置されています。
車線境界線(車線を区切る線)を利用

NEXCOでは、
- 白線:8m
- 空白部分:12m
「白線と空白のワンセットで20m」と覚えておくと分かりやすいと思います。
※一般道路の白線は 3〜10m、幹線道路は基本6m(一部5m)など場所によって違いが多く参考には出来ません。
また、高速道路でも古い道路や急なカーブなど危険な場所では間隔が短い場所もあります。
参考
NEXCO:ドライバーズサイト, 高速道路の白線って何メートル間隔なの?
「デリネーター(視線誘導施設)」
道路の端や中央分離帯などに設置される反射板。
中部運輸局は高速道路での車間距離の目安になるとしています。

高速道路の最大設置間隔が50m、一般道路は40mです。
ただし、キツいカーブなど危険な場所では間隔が短くなったりする等、全ての地域や場所で参考になるとは限りません。
※高速道路の ある程度まっすぐな道では参考に出来ることもあります。
車間距離の目安
信頼性が高く分かりやすいものとして、
日本は警察庁、国土交通省、JAF(日本自動車連盟)、高速道路調査会。
そして欧州のCEDR(欧州道路管理者会議)、アメリカのNational Safety Council(全米安全評議会) が公開している情報を紹介します。
警察庁の目安
前車との間に 2秒の距離を空ける
「イチ、ニ」と数えると早く数えてしまう可能性がある為、「ゼロイチ、ゼロニ」と数えるように推奨しています。
警察庁は日本交通心理学会の実験や事故統計を参考にしています。
- 走りやすいと感じる車間距離は、どの速度でも約1.8秒を空けた距離
- 2秒以上の距離を空けると重大事故が起こっていない
- 4秒以上だと割込みをされるおそれが出てくる
など、実験結果と統計的事実から車間距離は2秒が適切だとしています。
参考
警察庁:高速道路を利用する皆さまへ
国土交通省の目安
- 20〜40km/h:2秒以上の距離を空ける
- 50〜60km/h:3秒以上の距離を空ける
- 70〜100km/h:4秒以上の距離を空ける
速度が上がるにつれて停止に必要な距離(停止距離)は増えていきます。
国土交通省は停止距離が増えていくことを考慮に入れて、速度と共に秒数を増やしています。
国土交通省でも、「イチ、ニ・・・」と数えると早く数えてしまう可能性がある為、「ゼロイチ、ゼロニ・・・」と数えるように推奨しています。
参考
国土交通省 中部運輸局:追突事故の発生状況と対策について, 主な要因例への防止対策
JAF(日本自動車連盟)の目安
- 一般道路:2秒以上の距離を空ける
- 高速道路:3秒以上の距離を空ける
国土交通省と同じく、速度が上がるにつれて停止に必要な距離が増えることを考慮に入れて、高速道路では秒数を増やしています。
JAFも、「イチ、ニ・・・」と数えると早く数えてしまう可能性がある為、「ゼロイチ、ゼロニ・・・」と数えるように推奨しています。
参考
JAF:走行中の適切な車間距離は?
高速道路調査会の目安
- 混雑時:約 2秒
- 混雑していなければ:2秒以上
- 大型車:3秒以上
- 反応時間(危険を発見してからブレーキをかけるまでの時間)は、平均0.66秒、そして98パーセントの人が1.5秒以下
- 重たい大型車と、一般の乗用車の制動距離の差
- 荷物を積んだトラックと積んでいないトラックの制動距離の差
- ABS付き車両とABS無し車両の制動距離の差
- 割込みに関する運転者の感覚
といった調査、実験結果から秒数を決めています。
また、警察庁と同じく、車間距離が長すぎると割込みがあることを指摘しています。
「時速100キロメートルでは約100メートル」の車間距離といった、
「速度と同じ距離(秒数だと3.6秒)」を確保するルールが広く指導・啓発されている。
しかし、この車両間隔では、逆に割り込みにより安全性や快適性が
阻害され、混雑した状況では守られていない。※(秒数だと3.6秒)は、筆者によるもの。
出典:高速道路調査会 高速道路における適正な車両間隔に関する調査研究

高速道路での調査ですが、私は説得力のある数字だと感じます。
※個人の感想です。
参考
高速道路調査会:高速道路における適正な車両間隔に関する調査研究
アメリカで推奨されている車間距離
- 3秒以上の距離を空ける
- リスクのある条件がひとつ増えるごとに、1秒ずつ増やす
3秒ルール(Three-Second Rule)
又は、3秒プラスルール(Three-Second Plus Rule)と呼ばれます。

1秒ずつ増やすってどういうこと?

通常は3秒。
「雨のとき」は1秒足して4秒。
「雨天」の「夕暮れ」は2秒足して5秒。
といった感じになります。
参考
National Safety Council(全米安全評議会) , Reference Guide for NSC DDC Instructor-led Training, The Three-Second Plus Rule(3秒プラスルール)
欧州で推奨されている車間距離
- 前車との間に 2秒以上の距離を空ける
- 又は、速度の半分以上の距離を空ける
2秒ルール(Two-second rule)と呼ばれます。

速度の半分以上ってどういうこと?

例えば、
速度が60km/hなら車間距離は30m以上。
速度が100km/hなら車間距離は50m以上。

次で説明する「2秒で進む距離」を見てもらえば、だいたい近い値になっていることが分かると思います。
参考
CEDR(欧州道路管理者会議):CEDR Road Safety Guidance(道路安全ガイダンス), Safe distance between vehicles(安全な車間距離)
2秒で進む距離と3秒で進む距離(2秒、3秒の車間距離)
速度 | 2秒で 進む距離 | 3秒で 進む距離 |
---|---|---|
10km/h | 5.5m | 8.3m |
20km/h | 11.1m | 16.6m |
30km/h | 16.6m | 25m |
40km/h | 22.2m | 33.3m |
50km/h | 27.7m | 41.6m |
60km/h | 33.3m | 50m |
70km/h | 38.8m | 58.3m |
80km/h | 44.4m | 66.6m |
90km/h | 50m | 75m |
100km/h | 55.5m | 83.3m |
計算方法:反応時間(秒)× スピード(m/秒)
一般的な km/h(キロメートル毎時)を、m/s(メートル毎秒)に変えてから計算します。
例:50km/h → 50,000(m) ÷ 3600(秒)
追突を防ぐ為に最低限必要な車間距離
※追突しない為の距離です。前車からの落下物などには対応できません。
前車の制動距離 + 車間距離 > 自車の制動距離 +自車の空走距離
制動距離がほぼ同じと仮定すれば、
車間距離 > 自車の空走距離
語句の説明。
空走距離:危険に気付いてからブレーキを操作するまでに少し時間がかかります(反応時間)。その時間の間に進む距離
制動距離:ブレーキが効きはじめてから止まるまでの距離
例。(あくまで一例です)
空走距離の反応時間は、いくつかの実験結果から0.75秒で計算されることが多いのですが、少し余裕を持たせて0.8秒で計算してみます。
速度 | 反応時間 0.8秒の 空走 距離 |
---|---|
10km/h | 2.2m |
20km/h | 4.4m |
30km/h | 6.7m |
40km/h | 8.9m |
50km/h | 11.1m |
60km/h | 13.3m |
70km/h | 15.6m |
80km/h | 17.8m |
90km/h | 20.0m |
100km/h | 22.2m |
0.8秒までに反応した場合、表の空走距離以上に車間距離を空けていれば追突を避けられます。
※ブレーキ性能の差、前車からの落下物などには対応できません。

ただし、これはあくまで前車と制動距離が同じと仮定した場合の話です。

何らかの要因で反応が遅れたり、車種によってブレーキ性能が違うといったことも考えておくべきでしょう。
バイクは、タンデム(2人乗り)のときにも制動距離が変わります。

上記の表ぐらいの車間距離で走行している人は、わりとギリギリです。
何かあれば間に合わないかもしれません。

もう少し車間距離を空けましょう。
空走距離や制動距離、そして2人乗りについては、こちらをご覧ください。
所長から一言(まとめ)
時間を計る。


街灯などの基準点を決め、前車が通過してから自車が到達するまでの時間を計る。
「ゼロイチ、ゼロニ」と、ゼロを付けて早く数えすぎるのを防ぐ。
警察庁
前車との時間:2秒
※ 4秒以上だと割込みをされるおそれが出てくる
国土交通省。
20〜40km/h:2秒以上の距離を空ける
50〜60km/h:3秒以上の距離を空ける
70〜100km/h:4秒以上の距離を空ける
JAF
一般道路:2秒以上の距離を空ける
高速道路:3秒以上の距離を空ける
高速道路調査会(高速道路での目安)
混雑時:約 2秒
混雑していなければ:2秒以上
大型車:3秒以上
※時速100キロで100メートルなど、速度と同じ距離(3.6秒)を空けると、割り込みにより安全性や快適性が阻害され、混雑した状況では守られていない。
National Safety Council(全米安全評議会)
3秒以上の距離を空ける
リスクのある条件がひとつ増えるごとに、1秒ずつ増やす
CEDR(欧州道路管理者会議)
前車との間に 2秒以上の距離を空ける
又は、速度の半分以上の距離を空ける

車間距離は最低でも 2秒は空けたほうが良さそうですね。
距離を測る。


高速道路(NEXCO)には、車間距離確認表示板がある。
車線境界線(車線を区切る線)でも車間距離を測れる。
NEXCOでは、車線境界線の白線8m、空白部分12m。

2秒、3秒で進む距離(2秒、3秒の車間距離)
速度 | 2秒で 進む距離 | 3秒で 進む距離 |
---|---|---|
10km/h | 5.5m | 8.3m |
20km/h | 11.1m | 16.6m |
30km/h | 16.6m | 25m |
40km/h | 22.2m | 33.3m |
50km/h | 27.7m | 41.6m |
60km/h | 33.3m | 50m |
70km/h | 38.8m | 58.3m |
80km/h | 44.4m | 66.6m |
90km/h | 50m | 75m |
100km/h | 55.5m | 83.3m |
参考文献等
・道路交通法:第二十六条(車間距離の保持)
・警察庁:交通の方法に関する教則 第五章第四節2停止距離と車間距離
・警察庁:高速道路を利用する皆さまへ
・国土交通省:中部運輸局, 追突事故の発生状況と対策について, 主な要因例への防止対策
・高速道路調査会:高速道路における適正な車両間隔に関する調査研究
・National Safety Council(全米安全評議会):Reference Guide for NSC DDC Instructor-led Training, The Three-Second Plus Rule
・CEDR(欧州道路管理者会議): CEDR Road Safety Guidance, Safe distance between vehicles
・日本交通心理学会:車間時間に関するドライバーの時間知覚の精度についての研究, 谷田公, 松永勝也,
全て2025/4/3参照
・参考リンク。
e-GOV法令検索 →道路交通法で検索
警察庁
国土交通省
高速道路調査会:https://www.express-highway.or.jp/
CEDR:https://www.cedr.com/
National Safety Council:https://www.nsc.org/
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