3気筒(トリプル)

3気筒を採用する有名メーカーはトライアンフ。
いくつかの車種に直列(並列)3気筒エンジンを採用しています。
直列3気筒(並列3気筒)

直列(並列)3気筒は、クランクシャフトの角度を120度ずつズラすことで、慣性力の周波数が重なり合って一次振動を打ち消すことが出来ます。

更に、二次振動の周波数もうまく重なって打ち消し合うことが出来ます。

ただし、ピストンの慣性力の向きにズレが有るので「偶力」による振動は発生します。
GIFアニメーション作者:MichaelFrey
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Reihenmotor_Drei_Zylinder.gif

1気筒目と3気筒目という離れた位置のピストンが逆向きに動く瞬間があります。
力のズレの距離が離れているほど揺れも大きくなるので、偶力振動も大きくなりがちです。
たいてい偶力振動の対策が必要となります。
※今回は振動の話がメインではないので細かい話は省きますが、
3気筒の場合は、バランスウエイトをクランクシャフトの左右の端に付けて、左右に揺れ動く偶力振動を打ち消しつつ回転するように発生する振動に変換、それをバランスシャフトで打ち消す。
偶力を打ち消すのではなく軽減出来る位置にバランスシャフトを付ける。
バランスシャフトを別角度で2つ付けて軽減するといった方法があります。
直列(並列)3気筒の燃焼間隔

それぞれの気筒が120度づつ均等に分かれている為、燃焼タイミングも均等に3分割された一定間隔となります。
燃焼はクランクシャフト2回転の「720度」に1回。
720 ÷ 3 = 240だから「240度ごとの一定間隔」で燃焼が起こります。
イメージ的には、
・1気筒目に対して、2気筒目が240度クランク。
・2気筒目に対して、3気筒目が240度クランク。
・3気筒目に対して、1気筒目が240度クランク。
120度ではなく240度なのは燃焼のタイミングで考えるから。角度0度の並列2気筒を燃焼のタイミングから360度クランクと呼ぶのと同じ。
1気筒目を基準に他の気筒の燃焼タイミングを表すと↓
| 1気筒目 | 2気筒目 | 3気筒目 |
|---|---|---|
| 燃焼:0° | ||
| 圧縮:60° | ||
| 吸入:120 | ||
| 排気:180 | ||
| 燃焼:240 | ||
| 圧縮:300 | ||
| 吸入:360 | ||
| 排気:420 | ||
| 燃焼:480 | ||
| 圧縮:540 | ||
| 吸入:600 | ||
| 排気:640 | ||
| 燃焼:720 |
※2気筒目と3気筒目は逆にすることも可能。
3気筒エンジンは、2気筒よりも高回転型で、4気筒よりも低速域の力強さがあるエンジン。
文字通り、2気筒と4気筒の中間的なエンジンフィーリングとなります。
6気筒

6気筒はピストンがかなり小さくなる為、ごく一部の大排気量バイクに使われます。
ピストンが小さいといっても、シリンダーが 6つもあると、エンジン全体のサイズは大きくなります。
有名メーカーでは、BMWやホンダ、カワサキの大排気量クルーザーに採用例があります。
バイクでは主に、直列(並列)6気筒と水平対向6気筒エンジンが使われます。
並列6気筒と水平対向6気筒は、バランスウエイトやバランスシャフトを使わなくてもほとんどの振動を打ち消せるという特徴があります。
振動が少なくなるので、荒々しいイメージのバイクや、振動を「味」として楽しむバイクなどには向いていません。
追加部品が必要ないと言っても、ピストンを収めるシリンダーと付随する部品が 6つも必要で、それだけで重くなってしまいます。
バイクよりも、大排気量で穏やかな乗り味の車(高級車)に向いているエンジンと言えます。
直列6気筒(並列6気筒)

イラスト左から「1番目と6番目」「2番目と5番目」「3番目と4番目」を120度ずつズラした形です。
直列3気筒を 2つ並べた形なので、直列3気筒と同じく一次振動の周波数も二次振動の周波数もうまく重なりあって打ち消します。
3気筒で発生する偶力も、残りの3気筒を逆向きに(対照的に)配置することで打ち消すことが出来ます。
GIFアニメーション作者:MichaelFrey
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Inline_6_Cylinder_with_firing_order_1-5-3-6-2-4.gif

燃焼の順番(点火順序)は、左から1番目→5→3→6→2→4となるのが基本形です。
ピストンに大きな力を加える「燃焼」を左右どちらかに偏らせないことで、乗り心地の良さが得られます。
燃焼の間隔は3気筒の240度間隔を、更に半分にした120度間隔を繰り返します。

直列3気筒 2つを、角度を変えずに(0度又は360度クランク)繋げたものと考えることが出来ます。

緑色が直列3気筒の燃焼タイミングで、片方を360度ズラしたもの。
赤色が、直列6気筒の燃焼間隔となります。
直列(並列)6気筒エンジンは、新たな部品を追加しなくても、ほとんどの振動を打ち消せます。
燃焼タイミングも均等でスムーズに回転する為、穏やかな乗り心地のエンジンとなります。
水平対向6気筒

水平対向2気筒と同じく、一次振動も二次振動も打ち消し合います。
また、横倒しにした並列3気筒を反対向きに並べる形とも言え、3気筒で発生した偶力による振動も反対向きに発生し、打ち消し合うことが出来ます。

燃焼のタイミングは上記の並列6気筒と同じで、並列(直列)3気筒を角度を変えずにくっつけたものと考えることが出来、120度の一定間隔となります。
ピストンに力を加える「燃焼」が一定間隔で行われる為、スムーズに回転する穏やかなエンジン特性になります。
水平対向6気筒エンジンは、新たな部品を追加しなくても、ほとんどの振動を打ち消せます。
並列(直列)6気筒と同じく、燃焼タイミングも均等でスムーズに回転する為、穏やかな乗り心地のエンジンとなります。
参考文献 等
図説 バイク工学入門 , 著者 和歌山 利宏
バイクのメカ入門 , 著者 つじつかさ
自動車エンジン工学 , 著者 村山 正, 常本 秀幸
図解 自動車エンジンの技術 , 著者 畑村 耕一, 世良 耕太
RIDERS CLUB , 【元ヤマハエンジニアから学ぶ】二輪運動力学からライディングを考察!|エンジンが振動する理由 , https://ridersclub-web.jp/column-775197/
Wikipedia , エンジンの振動 , https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%82%B8%E3%83%B3%E3%81%AE%E6%8C%AF%E5%8B%95
Motochassis by Tony Foale , Some science of balance © Tony Foale 2007, https://motochassis.com PDF
EPI Inc , Piston Motion Basics , http://www.epi-eng.com
x-engineer.org , Kinematic analysis of the ICE piston , https://x-engineer.org
sense.net , motorcycle twin engines motori a V , 270 degree torque graph ,
ttps://www.sense.net
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